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米国中央銀行、極めて異例の行動へ…保有資産の削減計画公表、景気回復終焉の兆候か

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 米国の株式市場では、ナスダック総合指数をはじめ主要な株価指数が史上最高値を更新してきた。この背景には、IT技術への期待もさることながら、米国経済の状態と比較した場合にFRBの金融政策がいまだ緩和的と考えられることも影響していると考えられる。

 リーマンショック前、0.8兆ドル程度だったFRBのバランスシートは、三度にわたる量的緩和策(QE)の実施により4.4兆ドル程度にまで膨張した。現時点で、償還された国債などは再投資され、利上げが進むなかにあっても金利の上昇を抑制する措置が取られている。
 
 すでに専門家のなかには米国の株式市場でバブルが発生していると指摘するものが多い。そのなかで、FRBが償還された債券の再投資を段階的に削減し、バランスシートの縮小を進めれば、金利には上昇圧力がかかりやすくなるだろう。投資家の資金調達コストは増えるはずだ。それによって、理論的には株式などのリスク資産への資金流入を抑え、金融市場と景気の安定性を高めることができると考えられる。

伸び悩みつつある米国経済

 一方、年初以降に発表されてきた経済指標をみると、米国経済の先行きに関する不透明感は少しずつ高まりつつあるようだ。徐々に緩やかな景気回復のペースが鈍化していく可能性は高まっているのではないか。

 軽視できないのが、年初から5カ月続けて米国の新車販売台数が前年同月比で減少していることだ。大手メーカー各社は値引きを行っているものの、需要を喚起できていない。2009年後半以降、米国の自動車市場は回復し、15年には1747万台、16年は1755万台の販売台数を記録した。自動車は耐久消費財の代表である。この販売が伸び悩んでいることは、高額のモノを中心に、米国の需要回復が一巡しつつあることを示しているのではないか。

 この見方が正しいとすれば、雇用の改善が賃金の増加につながったとしても、それが需要を刺激し物価が上昇するとは限らない。足許では、住宅着工件数の減少など、住宅市場の回復にも息切れ感が出始めている。トランプ氏の大統領当選後、先行きへの楽観論の台頭によって押し上げられてきた消費者のマインド指数などを見ても、今後の景気に対する強気な見方は徐々にしぼみつつある。

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