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国連発表の「幸福度ランキング」、日本は先進国で最下位…金はあり健康、不寛容で汚職が多い

文=ヘルスプレス編集部
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国連が発表した日本の「主観的幸福度」は世界51位! 1位ノルウェイと何が違うのか?の画像1幸せの感じ方は人それぞれ!?(depositphotos.com)

「国際幸福デー」の3月20日、国連の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」は、国別の「世界幸福度ランキング2017」を発表した(4月4日付「サステナブルジャパン」より)。

「世界幸福度ランキング2017」は、マーケティングリサーチ会社のギャラップが2014~16年の3年間に、各国のおよそ約3000名を対象に行ったアンケート調査「Gallup World Poll」のうち、「ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)」に関する回答に基づいて、SDSNが主観的幸福度の統計分析を行ったものである。

 国連が世界幸福度を「ウェルビーング」という国民の主観によって評価するのは、GDPなどの客観的な経済的指標ではなく、人間の心理的な主観的幸福度こそが重要と判断するからだ。具体的には、アンケート調査の質問の中で、人生に「幸せ」を感じる度合いと「不幸せ」を感じる度合いを6指標によって分析しているのが特徴だ。6指標とは、以下の通りである。

①1人当たり実質国内総生産(GDP)
②社会的支援の有無(困った時、いつでも助けてくれる親族や友人がいるか?)
③健康寿命(健康を最優先しているか?)」
④人生選択の自由度(自分の生き方を自由に選択し、満足しているか?)
⑤寛容さ(過去1カ月間に慈善事業に寄付した金額はいくらか?)
⑥汚職(政府やビジネス界の汚職はないか?)

日本は主観的幸福度51位、G7の最下位、OECD加盟35カ国の27番目

 今回は、特に職場での幸福度にも着目し、収入、雇用形態、職種、業種のほか、仕事とプライベートのバランス、仕事内容、自主性の有無などが幸福度に与える影響を分析。精神疾患や心の病が不幸の最大の原因になると指摘している。

 では、幸福度ランキングトップ10を見てみよう――。

 第1位はノルウェーで、以下、デンマーク、アイスランド、スイス、フィンランド、オランダ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スウェーデンと続く。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資に意欲的な国が多い。

 さて、日本だが、ロシアの49位より低い51位。しかもG7の最下位、OECD加盟35カ国の27番目。かつては、「Japan as Number One」などと担がれた時代もあったが、経済感覚や生活意識から見れば、日本は幸福な国ではないと実感せざるを得ないのだろうか。

 ちなみに、米国は14位、ドイツは16位、英国は19位、シンガポールは26位、フランスは31位、タイは32位、台湾は33位、スペインは34位、イタリアは48位、中国は79位、インドは122位、そして最下位は中央アフリカだ。

なぜノルウェーの幸福度は高いのか?

 ノルウェーの幸福度が高いのはなぜだろう? 日本の幸福度が低迷しているのはなぜだろうか。また、その差異にどのような意味があるのだろうか。

 主観的幸福度に対する6要素の寄与度を見ると、ノルウェーは、国民1人当たりのGDPが21.4%、社会的支援が20.3%、健康寿命が10.6%、人生選択の自由度が8.4%、寛大さが4.8%、汚職が4.2%、その他が30.2%。

 一方、日本は、国民1人当たりのGDPが23.9%、社会的支援が24.3%、健康寿命が15.4%、人生選択の自由度が8.5%、寛大さが2.0%、汚職が2.8%、その他が23.2%。

 日本は、健康寿命が優れているものの、寛大さ、汚職のポイントがやや低い。寄付しない国民性、汚職が多いという実態が浮かび上がる。

 およそ4割を超える非正規雇用、自殺者を生む超過勤務、「保育所落ちた日本死ね!」が告発するように貧しい社会的支援、保育所建設に反対する住民エゴ、OECD加盟国中で4番目に高い相対的貧困率(約15%)、OECD加盟国平均以上の経済格差、1000兆円に近い国債残高……。これらの事実を列挙すると、幸福感への確信が揺らぎ、疑念が湧いてくるのは否めない。

幸福の感じ方は人それぞれ、人の頭数だけある

 ただし、注意すべき点がある――。このような限定的な統計データに基づく指標だけに依存する分析手法の限界も課題もあるのは、確かだ。分析手法のバイアス(偏り)も勘案しなければならないので、あくまで目安と考えたい。

 重要なのは、幸福の感じ方や生き方に対する価値観は個人差が大きく、多様性があるという認識だ。つまり、国家、民族、自然、文化、教育、経済力、ESG投資意欲のほか、社会制度や医療・福祉の発達度などの指標によって個人のウェルビーイングの感受性が異なる。すなわち、幸福感は、個人のウェルビーイングの広さ、深さ、強さ、柔軟さの多様性によって決まるのだ。

 幸福を感じるために何が大切だろうか。たとえば、『限りなく完璧に近い人々』(マイケル・ブース/KADOKAWA)を読んでみよう。北欧5カ国は税金が高く、生産性が低く、生活水準も高くなく、さまざまな社会問題に直面しているにもかかわらず、人生がつらいと感じる人はわずか1%だ。その強かな多様性やレジリエンス(復元力)を少しは理解できるかもしれない。

 北欧5カ国の人々の自立した精神に脈脈と流れているのは、人間の愛への強い信頼感、自己成長への確かな肯定感、勇気と行動力がもたらす幸福感だ。その気づきがあれば、踏み出すべき道筋が見えるかもしれない。

 試練と忍耐の逆風の吹きすさぶ不確実な時代。このような時こそ、幸福を求めてやまない人間の自覚と行動力が問われるのだ。

 幸福とは何か--。遥かなる大宇宙に瞬く幾千億個の星々のように、幸福の感じ方は人それぞれ。人の頭数だけある。水のような、空気のような、陽光のようなものだろうか。生かされて生きる奇跡を感謝する心かもしれない。
(文=ヘルスプレス編集部)

*参考文献
Japan as Number Fifty-One! 国連World Happiness Report 2017
http://worldhappiness.report/ed/2017/
https://s3.amazonaws.com/sdsn-whr2017/StatisticalAppendixWHR2017.pdf

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ヘルスプレス編集部

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