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メタボ患者の睡眠不足は超危険!心臓病や脳卒中での死亡リスクが倍増

文=ヘルスプレス編集部
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メタボ患者の睡眠不足は「心臓病」や「脳卒中」による死亡リスクが約2倍!の画像1睡眠不足のメタボは死亡リスクが2倍(depositphotos.com)

「♪すいみん すいみん すいみん スイミン不足っ」――。これはご存じ、テレビアニメ『キテレツ大百科』(原作:藤子・F・不二雄)のオープニング曲『スイミン不足』の歌詞だ。

 思わず「♪あの娘が私を悩ませる 私があの娘を悩ませる みんながみんなを悩ませる みんなは心を痛めてる」と続けて、初恋のせつなさを思い出しながら口ずさんだ方もいるかもしれない。

 では、その原曲となった、CHICKSというガールズバンドが作詞・作曲をして歌った『すいみん不足』では、後者部分の歌詞が「♪政治がみんなを困らせる みんなは心を痛めてる 」と結構シリアスな内容だったという秘話をご存じだろうか。まさに、内閣支持率が急落中の今こそ復刻してほしい歌だ。

 閑話休題。今回は5月17日付『Journal of the American Heart Association』(オンライン版)に掲載された、「睡眠不足」をめぐる看過できない新たな知見を紹介しよう。

メタボリック症候群患者の心臓病や脳卒中の死亡リスクは「2.1倍」

 腹部肥満や高血糖、あるいは高血圧や脂質異常などのリスク因子を複数有する「メタボリック症候群」患者の場合、一晩当たりの睡眠時間が「6時間未満」という睡眠不足が続くと、「心臓病」や「脳卒中」による死亡リスクが倍増する可能性が示唆された。

 米国では「腹部肥満(日本国内ではこれが必須項目)」「高血糖」「高血圧」「脂質異常(中性脂肪値ないしはHDL-コレステロール値の異常)」のうち、3つ以上に該当すれば「メタボリック症候群」と診断される。

 こうした患者が背負うリスクと睡眠(不足)の関連を探る研究を実施したのは、米ペンシルベニア州立大学Milton S. Hershey医療センターのJulio Fernandez-Mendoza氏(睡眠心理学)が主導するチームだ。

 研究に際しては、一般住民のなかから無作為に抽出された成人男女1344人(平均年齢49歳)の協力を仰いだ。

 各被験者には睡眠検査室で一晩寝てもらい、その睡眠時間を測定。その追跡調査は平均で約17年間にも及び、参加者のうち39%の層が前掲のリスク因子を3つ以上有する「メタボリック症候群」だったそうだ。

 そして根気強い追跡検査を続けた期間中、全体の参加者中22%が死亡している。

 研究解析の結果、検査室での睡眠時間が「6時間未満」だったメタボリック症候群の患者層の場合、同じく睡眠不足傾向にありながらリスク因子が少ない(2つ以下)層と比較すると、心臓病や脳卒中による死亡リスクが「2.1倍」である事実が判明した。

睡眠の過多と不足と疾患リスクと……

 一方、同じく3つ以上の因子を擁するメタボリック症候群患者であっても「6時間以上」の睡眠時間とれている層の場合、上記の2疾患による死亡リスクは同比で「約1.5」と低い数値を示した。

 しかも「6時間未満」の患者層では「全(疾患)死亡リスク」も2倍近くあるとの傾向も明らかにされた。

 研究班は今回、心疾患のリスク因子として一般にもよく知られてきた「睡眠時無呼吸」も考慮しつつ慎重に解析を行った点から、睡眠とメタボリック症候群の関連を示唆した成果は「当然、注目に値する」と自負を込めて強調している。

睡眠不足の日本人はせめてメタボ回避を

「裏返せば、メタボリック症候群の患者が睡眠不足問題を解消した場合、早期死亡につながる心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減できる可能性があると我々は考えている」(Mendoza氏)

 さらに研究結果では、とりわけ高血糖や高血圧のリスク因子を擁する患者が睡眠不足状態に陥ると、「早期死亡リスクが増加する」傾向も読み取れた。

「つまり、睡眠不足のメタボリック症候群患者では、自律神経系の問題点や代謝異常を抱えている可能性が否めない」とMendoza氏らは考えており、総評としては「メタボリック症候群のリスク因子を抱える患者たちは睡眠時間に配慮すべきである。具体的には、薬物治療や行動療法によって睡眠時無呼吸や睡眠障害、不眠症をコントロールする手立ても有効な手段といえるだろう」と述べている。

 もっとも、冷ややかな反応を語る向きもある――。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のByron Lee氏もそのひとりで、「彼らの研究からだけでは、睡眠不足が本当に早期死亡の要因なのか、それとも実際は単なる不健康の兆候にすぎないのか、その線引きは正直むずかしい」との見解を示す。

 とはいうものの、「患者は自分の睡眠時間や質に気を付けるべき」という点では同意を示し、上記のような症状がみられる場合は「医師に相談すべき」と語る。

「メタボリック症候群患者や睡眠不足気味の人々の場合、その行動や生活習慣の観点から察するに、とかく座りやすい傾向とか、食事面での栄養不足なども考えられる」(Mendoza氏)

 われわれ日本人が世界比で睡眠不足的傾向が高い国民であることは、かつて「エコノミック・アニマル」という別称で語られてきた。それが治らない国民性であるならば、せめてメタボには大いに気をつけたいものである。
(文=ヘルスプレス編集部)

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