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鈴木祐司「メディアの今、そして次世代」

テレビ局、視聴率見直し要請…「総合」視聴率では順位一変、ドラマが多数上位

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個人視聴率の意味

 指標をめぐるもう1つの論点は個人視聴率だ。従来は世帯視聴率が取引の前提だったが、今後は個人視聴率を基準にしたいという話だ。欧米ではすでに、視聴者数で番組の影響力を表現する例が多い。たとえば今年の米国スーパーボウルでは、視聴率でなく「1億1130万人の視聴者数」と表現された。こうすれば、録画再生で見た人数、インターネット上で接触した人数、全体の合計人数がわかり、番組の媒体力を総合的に把握できるようになる。

 ところが日本では、世帯視聴率で表現されてきた。しかも今の計算法は、すでに3%ほどいるテレビ未所有世帯は分母から排除されている。つまり実際に該当番組を見た人の数は把握できず、ネット上の接触データと連動させることができない。

 しかも世帯主が20代以下では、テレビの所有率は9割となっている。こうした若年層こそ、インターネットによる番組接触が多い、今後の経済活動の主役たちだ。タイムシフト視聴率を使い、かつ指標を個人ベースにすることで、すでに多様な見られ方をしている番組の媒体力を正確に表示することこそ、テレビ界活性化の一歩となる。

 こうなると、テレビ局も変わり始める可能性がある。実はすでに、59歳以下あるいは49歳以下など、ターゲット層の視聴率を番組評価に使っている局がある。広告の営業でも、世帯視聴率をベースにしつつ、個人視聴率を活用し始めているのが現実だ。

 たとえば昨年秋クール、世帯視聴率でバラエティ1位は『笑点』(日本テレビ系)だった。ところが59歳以下視聴率だと、『世界の果てまでイッテQ!』(同)がトップで、『笑点』はベスト10の圏外となる。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)は、世帯だと圏外だが59歳以下では4位となる。

 若者のテレビ離れが著しいといわれる。これは50歳以上が全人口の45%を占めるので、世帯視聴率を高くするため、テレビ局が中高年を前提に番組制作をし始めているからだ。

 ところが録画再生や個人視聴率が前提になると、マネタイズの仕方は選択肢が広がる。それぞれのターゲットに応じたつくり方が可能となり、結果として番組の多様性が高まる。

 広告取引の指標見直しについては、2018年4月から実施したいとテレビ局側はしている。現実が本当に動くかどうかは、合意形成の行方次第だが、いずれにしても新たなステージが視野に入ってきたことは間違いない。

 テレビ番組の制作者には、これを好機としてぜひおもしろい番組を開拓してもらいたいものである。
(文=鈴木祐司/次世代メディア研究所代表)

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