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日本除く世界各国、一斉に金融緩和脱出へ…世界的バブル発生と崩壊のリスク高まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 事実、FRBもECBも、物価の目標を2%に据え置き、それがグローバルスタンダードだとの姿勢を貫いている。現実の経済環境と金融政策の目標にギャップがあるなかで、中央銀行が政策の調整を進める正当性を説き、金融市場、家計、企業の信任を得ることはできるか。まさに、セントラルバンカーの手腕が問われる状況が到来しつつある。

金融政策が繰り返す“いつか来た道”

 
 歴史を振り返ると、金融政策はバブルの発生と崩壊の一因となってきた。1989年に日銀が金利を引き上げ、株価、不動産価格の鎮静化を狙ったことを“バブルつぶし”と考える専門家は多い。今後、金融政策がバブル崩壊の一因となってしまう“いつか来た道”を世界経済がたどる可能性は高い。

 バブルの恐れが高まっているのは米国だけではない。ユーロ圏でもドイツの株価は09年3月につけたリーマンショック後の安値から3倍以上の上昇を遂げた。同じ期間、ユーロ圏全体の株価は、ほぼ2倍の上昇だ。ECBが量的緩和を中心に金融の緩和を進め、国債からリスク資産への資金流入が支えられてきたことは大きい。

 特に、年初以降はハイテク企業への期待が株価を支えた。米国のアマゾンは、異業種の企業を傘下に収めることで、自社のビジネスプラットフォームを拡大させようとしている。これが、普及が期待されるネットワーク技術と融合すると、ビッグデータのさらなる蓄積が進むだろう。それを活用することで、アマゾンが自ら市場を創造し、成長を遂げることが可能になるとの見方も増えている。その結果、「今回の景気回復は違う、これからが本当の成長局面だ」との強気な見方も増えている。

 しかし、FRBのバランスシート縮小観測に加えてドラギECB総裁が政策の調整を示唆したことは、米欧の長期金利、株式市場のボラティリティを上昇させた。金融政策が引き締め基調で運営されるとの見方は、着実にリスクテイクを阻害しつつある。

 6月下旬、日本を除く主要先進国の中央銀行は、金融緩和から引き締め、あるいは正常化への舵を切り始めたとみる。金融政策は、景気や金融市場に影響を与えやすくなっていると考えられる。

 金融市場では、多くの投資家が年初来の低ボラティリティ環境に慣れ、下方リスクへの警戒感が低下している。それだけに、先々の金融政策への不安が高まった場合には株安が進み、グローバルな規模で市場が動揺するかもしれない。今すぐではないにせよ金融政策がバブルつぶしの一因となり、世界経済が“いつかきた道”をたどる可能性は低くはない。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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