ところが、「我慢するストレス」状態が長時間続くと、このコルチゾールが常に分泌されつづけてしまう。こうなると、脳にコルチゾールが溢れてしまうのだ。

 常に届けられるコルチゾールによってどうなるか。本書ではアリゾナ州立大学で行われたネズミへの実験を紹介している。

 特別な金網に閉じ込めるなどして、「我慢するストレス」に相当する慢性的ストレスを与え続けたネズミとそうでないネズミを比較すると、脳の海馬の部分に顕著な違いが見られた。

 ストレスを与えられたネズミの海馬は、神経細胞の突起が明らかに減少していたのだ。これは脳にあふれたコルチゾールのはたらきと考えられるようだ。

 これはネズミだけの話かというと、そうでもない。

 あるうつ病患者の脳とそうでない人の脳を比較すると、うつ病患者の脳の海馬部分に萎縮が見られた。脳画像を見ると、その萎縮によって脳の中に隙間ができていたという。

 いうまでもなく、海馬とは学習や記憶をつかさどる重要な部位だ。ストレスは時に私たちの心に圧迫感を与えるが、私たちの肉体もむしばんでしまう可能性があるのだ。

 比喩ではなく、ストレスは人を殺す。私たちはそのことに目を向けざるを得ない社会に生きている。

 日常の端々に潜むストレスとどう向き合い、どう逃げるのか、本書はそれを考える手がかりとなりうるだろう。

(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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