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富士フイルム、不正会計認識しつつ社債発行で多額資金調達の疑い…市場を欺く倫理逸脱行為か

文=編集部
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 第三者委員会の報告書には、富士ゼロックスの吉田副社長らは15年にNZ販社の架空売り上げの事実を把握していたが、問題の隠蔽を現地法人に指示、富士フイルムHDには情報を伝えなかったとある。だが、古森氏は富士ゼロックスの取締役でもあった。「何も聞いていません。何も知りません」と言い逃れすることはできないはずだ。

 記者会見や株主総会で古森氏に代わって謝罪した助野氏は、社内では「総務課長のような軽い人。古森会長のイエスマン」と酷評されている。助野氏は16年4月、富士フイルムHDの取締役執行役員から社長兼最高執行責任者(COO)に昇格した。経理の経験が長く、営業のことはわからないといわれている。

 助野氏の前任である中嶋成博氏は社長退任後、いったんは副会長に就いたが、6月末の株主総会で退任した。「健康上の理由から、退任したいとの申し出があった」と会社側は説明している。

証券市場で指摘されている疑惑

 富士フイルムHDは3月3日に合計1500億円の社債を発行した。もし、経営陣が富士ゼロックスの不正を認識しながら社債を発行したのなら、投資家を欺いたことになる。

 6月12日の会見で助野氏は、「社債発行のタイミングまで、影響額がどのくらいの規模になるかわからなかった。社債発行をそのまま進めた」と釈明した。

 しかし、第三者委員会の報告書を見れば、この説明ではつじつまが合わなくなる。富士フイルムHDの経営陣が、NZの販社不正会計処理を知る機会は複数回あった。

 まず、NZの現地メディアが不正会計処理について報道したことを受け、英国の調査会社が事実関係を問い合わせてきた時。次いで、あずさ監査法人が不正会計処理の問題を指摘した時。さらに17年1月に助野氏が栗原氏に1月中の調査を指示した時。富士フイルムHDは、事の重大さを認識していたことになる。そして2月15日、あずさ監査法人が133億円の損失を試算して、会社側に伝えた時だ。

 NZ販社の不正会計がわかっていながら、富士フイルムHD は2月24日に1500億円の社債の発行を決めている。金融商品取引法では、有価証券報告書に虚偽記載があれば、課徴金の納付を命じることができる。特に、誤った情報を投資家に流して市場から多額の資金を調達すれば、その責任は一段と重くなる。

 そのため、富士フイルムHDの虚偽記載の有無が、証券市場で注目されているのだ。

 富士フイルムHDの最大の問題点は、「古森氏が偉すぎること」にある。古森氏だけを見ている社長以下の経営陣で、この難局を乗り切れるのか。77歳の古森氏は7月15日付日経新聞のインタビューで「CEOは少なくとも2~3年はやらないといけない」と語っている。

 直近1カ月ほどの富士フイルムHDの株価低迷が、株式市場や投資家の不安を映し出している。
(文=編集部)

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