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日本とEU、「米国抜き」の世界見据え強固な連携達成…かつてない経済的互恵関係構築

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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日本とEU、「米国抜き」の世界見据え強固な連携達成…かつてない経済的互恵関係構築の画像1「Thinkstock」より

 7月6日、日本とEU(欧州連合)が「日EU経済連携協定(EPA)」について大枠合意に達した。今回、「大枠合意」との表記が用いられているのは、詳細な部分で日・EU双方の交渉が残っているためだ。通常、経済連携協定などの通商交渉には、10年程度の時間を要するといわれる。今回のEPAについては、2011年5月から議論が進められてきた。日本は自動車(10%)、電子機器(最大14%)などに課せられてきた関税の撤廃や削減を求めてきた。一方、EUは農産品等の輸入拡大、自動車や電子機器、食品などへの非関税措置などを求めてきた。

 7月のG20ハンブルク・サミットを控えるなか、日本とEUの経済連携協定に関する議論は、かなりのスピード感をもって大枠の合意に向かったと考えられる。そこには、自由貿易や多国間の経済連携を深化させることが長期的な世界経済の安定につながる、との信念をG20の場で国際社会に発信しようとする日・EUの考えがあった。

EPAの概要

 
 EPAの交渉を進めるなかで、日本は自動車などの輸出にかかる関税の削減、ないしは撤廃などを求めてきた。一方、EUはチーズやワインなどの農産品の輸入拡大を日本に求めてきた。

 今回のEPAの結果、日本がEUに輸出する自動車関連部品の品目数にして91.5%、輸出額の92.1%にかかる関税が即時撤廃される見通しだ。また、自動車以外の品目に関しては、輸出額ベースで一般機械の86.6%、化学工業製品の88.4%、電気機器の91.2%の関税が即時撤廃される予定だ。日本の製造業にとって、EPAの効果は大きいといえる。

 一方、日本の輸入に注目すると、コメは関税削減や撤廃などから除外された。TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉を振り返ってもわかる通り、日本は国内の農業を保護している。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定に関する議論を進めるなかであっても、保護ありきの農業政策が続けられてきた。その背景には、歴史的に農家が重要な集票基盤となってきたことなど、政治への配慮があったと考えられる。

 チーズ類に関してはEUからの要望に応え、最大3.1万トンの輸入枠が新設された。この枠内にかかる関税は段階的に引き下げられ、16年目に撤廃される予定だ。その後の枠数量は、国内消費を考慮して決定される。なお、輸入ワインの関税は即時撤廃される予定だ。

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