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連載
山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

感動的に便利なUberが爆発的普及…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
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――それで入社を決意されたのですか?

高橋 実際に参画したのは14年のことで、7月にUber Japanの社長として赴任しました。しかし、始まりはあの夜のわくわく感、どきどき感であることは間違いありません。あれからずっと、Uberのユニークなサービスを日本に導入したらどんなことが起きるか、そしてどんなことができるのかに興味を持っていたのです。声をかけていただき、改めてUberのことを知ると、とにかくものすごい技術、そしてものすごいビジョンを持っている会社だと思い、参画を決意しました。

今後のビジネス展開

――日本における今後のビジネス展開について、どのようにお考えですか。

高橋 プロダクトとして本格的に導入しているのは、UberBLACKとUberEATS(ウーバーイーツ)の2つです。この2つが現在でのビジネスの軸になっています。これらを軸にサービス提供エリアを拡大し、事業を大きくしていきたいと考えています。加えてグローバルな、つまり世界で共通のUberサービスを日本で提供するという使命もあります。外国人訪日客が他の国でいつも使っているUberのサービスを、日本ではまだ使用したくても使えないというのが現状です。今年の1月から3月の間に、東京でUberBLACKをお使いになったユーザーの方の国籍は78カ国に上りました。それだけ高いニーズがあるわけです。

――UberBLACKはハイヤーの配車サービスですが、すでに既存の競合他社はいくつもあります。

高橋 高級車両が来るだけでなく、配車アプリそのものも徹底的に洗練され、透明性があります。提供するハイヤーの料金も変動できるようにしています。

――規制の面はどのようにクリアされているのですか。

高橋 当社が旅行代理店として登録しており、ハイヤー会社から車両を借り上げることで、サービスを実現しています。料金が変動することにより、お客様の利用状況とドライバー・パートナー稼動との需給マッチングが可能となります。Uberのテクノロジーによって、配車依頼が発生しそうな時間帯や場所が、ドライバー側のアプリに表示されるため、効率的にお客様を乗車させることができます。UberBLACKのハイヤーは営業所で待っているのではなく、需要が予測されるサービス提供エリアで待機しているのです。

――Uber全体としては、他にも多くのサービス・メニューがありますね。

高橋 Uberは世界中で展開していますが、それぞれの国・地域での特性や地域性も考慮しています。日本なら高齢化などの状況を踏まえて対応していきたいと思っています。

GDPの成長にまで寄与

――高橋社長は、Uberというビジネスの価値をどうとらえていらっしゃるのですか。

高橋 Uberが提供するサービスは、既存のものを置き換えているわけではありません。新しい仕組みを提供して、それが使われることにより関連する経済のパイ全体を拡充しています。移動が簡便化し、利用が増えることにより、たとえば高齢者の皆さんの外出が増える、そして消費が拡大する、ということが起こっています。そして雇用の提供まで生み出しています。社会に対しても貢献できるサービスだと思っています。フランスではuberXのドライバー・パートナーとして新しく1万人以上の雇用が発生しましたし、GDPの成長にまで寄与したという報告がなされています。

――米国ではカラニックCEO(最高経営責任者)の退任が発表されるなど、トップの交代が重なっています。

高橋 日本に直接の影響はありませんし、私たちが日本でやらなければならないことは、わかっています。私たちは粛々とビジネスの拡大に励んでいくつもりです。Uberの使命は、それぞれの国での交通の課題を解決するソリューションを提供することです。高齢者や過疎化、増加する海外観光客の移動、そのような日本が直面する交通課題に対してチャレンジしていきます。

――とても大きな可能性があると思います。本日はありがとうございました。

高橋 ありがとうございました。

対談を終えて 山田の感想

 シェアリング・エコノミーの新ビジネスの代表として、いつもAirbnb(エアビーアンドビー)と並んで論じられるのがUberである。世界中でビジネス展開しているが、従来からの法制などの問題でそのまま導入できないサービスが国によってはある。

 日本市場におけるひとつの可能性は、物流部門への参画ではないか。たとえば、アマゾンの配送。ヤマト運輸から値上げ要請を受けているアマゾンは、ヤマト以外で「ラストワンマイル」のお届けの方策を樹立しようと動いている。丸和運輸機関がこれに呼応し、1万人の配達ドライバーを採用したい、と報じられている。

 しかし、運送業界で喫緊の課題は、なんといっても人手不足である。丸和運輸が必要としているのは配達要員だけなので、UberEATSの配達パートナーがそのまま貢献できると私にはみえる。

 またコンビニ店舗からの個別配送にもマッチできるだろう。UberEATS側からすれば、配達する拠点がレストラン・パートナーに加えてコンビニとなるだけだ。UberEATSの配達パートナーがお届けすることができる。

 物流クライシスといわれる現在、シェアリング・エコノミーは経済合理性に基づいて自ずと拡充していくことだろう。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)


※ 本連載記事が『残念な経営者 誇れる経営者』(ぱる出版/山田修)として発売中です。

撮影=キタムラサキコ
●山田修(やまだ・おさむ)
ビジネス評論家、経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導の第一人者。「戦略策定道場」として定評がある「リーダーズブートキャンプ」の次の期が8月から開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 「社会人勉強心得帖」』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。

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