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火葬場不足で死後1週間遺体放置…遺体ホテル急増が波紋、「直葬」で親族間に確執も

文=真島加代/清談社
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 そして、こうした家庭に見られるのが、「“死”を十分に受け止めることができない」という特徴だ。

「病院から安置所に預け、一度も面会に行かず火葬し、有給休暇を3日くらい消化して仕事に復帰するなど、そういうケースが増えてきたという印象があります。そういう方は、葬儀後、『本当にこれでよかったのか?』と心の整理がつけられない場合もあります」(同)

 直葬のようなシンプルな送り方をする場合は、親類や故人の友人にも知らせない家庭が多く、後々になって「なぜ知らせてくれなかったのか?」と周囲との間に溝が生まれることもあるそうだ。

 葬儀はお金をかければいいというものではないが、吉川さんは「あまりに事務的なお別れをしてしまうのは考えもの」と話す。

「確かに、遺体ホテルのような場所はとても便利です。このような施設を活用しつつ、火葬まで何度か遺体に面会に行き、周囲にも知らせるなど、遺族側もそれぞれ故人との別れ方を工夫していただきたいですね」(同)

説明不足で近隣住民から大反対に遭うケースも

 遺体ホテルのもうひとつの問題が、近隣住民とのトラブルだ。たとえば、神奈川県川崎市の「ご遺体ホテル そうそう」は、一見すると遺体が安置されているとは思えないスタイリッシュな外観の民間遺体安置所で、多くの人たちに利用されている。

 その一方、営業中の現在も近隣住民から苦情や反対の声が上がり、テレビの情報番組でも、その問題が取り上げられている。このケースは、近隣住民の理解が得られていない状態で強引にオープンしたことがトラブルにつながった可能性が高いという。

「自治体の条例にもよりますが、葬儀会館をつくる場合は、集会所の目的を住民に明確に伝え、葬儀関係の手続きが必要な地域もあります。ただし、そうした手続きさえすれば、近隣住民への説明もなしに遺体を扱う施設をオープンしていいというわけでもありません」(同)

 葬儀会館は商圏範囲2kmから10km程度なので、地域の協力なしに営業を続けるのは難しい。近隣住民から大反対を受けてしまうと、営業そのものが立ち行かなくなることもあるという。

「過去にも、強引にオープンしてしまった葬儀会館がありました。必要な手続きを済ませて営業を始めたのですが、住民への説明が不十分だったために大反対に遭ってしまったのです。そのまま営業を続けると住民との軋轢が深まってしまうので、現在は葬儀会館ではなく貸し会議室になってしまったケースもあります」(同)

 しかし、それでも「葬儀場や遺体ホテルは、なくてはならないもの」と吉川さんは言う。

「メディアは遺体ホテルに反対の声を大きく取り上げますが、なかには歓迎している住民の方もいるはずです。オープンにあたっては、そういった方々に間に入ってもらい、事前にしっかりとケアする必要があると思います」(同)

 今後も増えることが予想される遺体ホテル。住民の理解をいかに得るかが、カギになりそうだ。
(文=真島加代/清談社)

●「葬儀ビジネス研究所

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