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「安倍政権支援新聞」読売・産経、共謀罪報道が朝日の半分以下、国会質疑詳報はゼロ

文=林克明/ジャーナリスト
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斎藤貴男氏が5つの提言

 がんばって共謀罪の真実を伝えようとしているメディアもあるが、全体としてみて「ダメだな」という指摘をしたのが、パネリストのひとりで長年にわたり「監視社会」をテーマに取材を続けるジャーナリストの斎藤貴男氏だ。

 斎藤氏は、メディアが今よりマシになるために5つの提言をしたので紹介しておきたい。

提言1…新聞社自ら、新聞の軽減税率適用の要望を取り下げる

 安倍政権は、来秋、消費税を8%から10%へ増税する際に、食品と新聞の税率を例外にすると決めている。

「新聞社が権力に“おねだり”して勝ち取ったものです。私が仮に安倍政権の人間なら、たぶんこう言います。『(軽減税率適用)はわからなくないよ、ただ論調替えろよな』。つまり、政権に逆らえないような状況をわざわざ自分でつくっているのです」(斎藤氏)

 実際、新聞への軽減税率適用が決定する前に、新聞社幹部らが安倍首相と会食を重ねており、そうした場で“おねだり”したと見られてもしかたがないだろう。

 経営の苦しさ、すなわち金欲しさにメディアがこのようなことを続ければ、当然、共謀罪のような社会を根底から変えるような法案の問題点を指摘することは難しくなる。

提言2…「発表通信社」をつくる

 記者クラブなどで発表されたものは、駆け出し記者や記者見習いが発表専門通信社を通してそのまま伝える。一般記者は独自の調査報道に専念する。メディア各社が金を出し合うか、共同通信と時事通信がその役割を徹底することも考えられる。

提言3…新聞に沖縄面と福島面をつくる

 基地問題などに翻弄される沖縄と、東京電力福島第一原子力発電所事故の被害に遭った福島は、日本の縮図であり、さまざまな問題が凝縮されている地域だからだ。東京中心の情報発信では、日本の重要な問題が見えてこない。

提言4…業界団体やメディア企業が「名誉棄損保険」をつくる

 力のある大企業が記事の執筆者やメディアを名誉棄損で訴えれば、記者たちは裁判の対応に追われ、続報記事を書くことが難しなる。フリーの記者ならば生活そのものが成り立たない。日本の名誉棄損裁判は、訴えた側でなく訴えられた側に立証責任が課せられるからだ。

 名誉棄損を持ち出して相手を黙らせる方法は、「いやがらせ訴訟」「恫喝訴訟」などと呼ばれる。他社や他記者らが訴えられたのを見た他メディアも、危ない記事を控え自粛してしまうことがある。

 仮に掲載した記事について名誉棄損で訴えられても保険が降りる仕組みを損害保険会社につくろうという提案である。

提言5…価値観宣言をする

 特定秘密保護法が成立したとき、朝日新聞は一面で報じた。その記事の下に、編集局長名で、「それでも我々は知る権利のために闘う」という記事を掲載した。

「ところが、同じ日の紙面に、自民党税制調査会が軽減税率に賛成する議員を二百何十人集めてくれたという記事が載っている。私が安倍政権の人間なら大笑いしたろうなと思いました」(斎藤氏)

 特定秘密保護法や共謀罪をゴリ押した勢力と我々は違うのだ、違う価値観をもって仕事することを堂々と宣言すべきとの提案だ。
 
 今後、共謀罪によって報道関係者が委縮することも考えられるため、これらの提案のひとつでも実行したら、それなりの効果はあるだろう。
(文=林克明/ジャーナリスト)

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