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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

なぜ患者はお金を払っているのに、医師から詳細な治療データを教えてもらえないのか?

文=新見正則/医学博士、医師
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 非常識君のコメントです。

「常識君の主治医の先生のように患者の立場に立って、説明してくれる医師は実は少ないのです。ですから、こちらがレポートや検査結果、紹介状などのコピーをくれと懇願しないと渡さないのです。お金を支払っているのは患者なのですから、懇願してもらうというのもなんだか変だと思いませんか。でもそれが現実なんですよ」

自分のカルテを見る権利

 極論君の意見です。

「僕はすべて主治医に任せてあるので、詳細までは知りたくありませんし、検査結果や画像検査のレポートを渡されても理解できません。だから、自分のデータであっても信頼している先生が管理して、そしてそれに基づいて適切な治療をしてくれればそれで十分です」

 常識君のコメントです。

「極論君もまた信頼できる先生に診てもらっているのでしょう。そんなときは、すべてお任せでも悪くないですよね。でも何か疑問が生じたり、また自分の体に興味がある人は、やはりそんなデータを見たいのです。そんな人には、やはりデータをすべてくれるという立ち位置の先生がいいと思います。『検査結果持っていきますか?』と問われて、『結構です』と言うほうが、検査結果をくれと懇願するよりはるかに楽でしょ。そんなサービス業としては当たりまえのことができていない医者や病院はまだまだ多いのです」

 非常識君の意見です。

「本当にその病院や医師が気に入らなかったら、カルテの開示を請求できますよ。自分のカルテは当然見る権利があるのですから。弁護士の先生を通して開示請求をするほうが、すべてスムーズに行くでしょうが、特別な人にお願いしなくても、どこの病院に対してもカルテ開示の請求は各自が行えるのです」

 非常識君のコメントです。

「カルテの開示には結構なコピー代を要求されると聞いています。そうであれば、やっぱり紹介状のコピーは魅力的ですね。日本では裁判と医療はまだまだ馴染みません。なので、すべてお任せでうまくいく極論君の主治医や、なんでも先回りして心優しく対処してくれる常識君の主治医は素晴らしいですね」

(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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