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現実は『コード・ブルー』を越えた?ドクターヘリやメディカルジェット、「空」の救命搬送が進化

文=ヘルスプレス編集部
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自衛隊・海上保安庁・警察による緊急救急とは?

 一方、ドクターヘリや政令指定都市・都道府県の防災ヘリが対応できない緊急救急を担うのが、自衛隊・海上保安庁・警察だ。なかでも自衛隊・海上保安庁の出動は、都道府県知事からの出動要請が必要になる。

 自衛隊の出動は、都道府県知事の要請に基づき、「災害派遣」の名目で急患搬送が行われる。

 離島、僻地などの急患空輸は、特定の個人の救援活動ではなく、公共の秩序を維持する公共性、差し迫った緊急性、ほかに適切な手段がない非代替性などの条件を満たさなければならない(自衛隊法第83条 災害派遣)。

 たとえば、埼玉県防災航空隊の防災ヘリは、計器飛行しているため、夜間でも医療機器を搭載したドクターヘリに準ずる運航を行い、夜間飛行できないドクターヘリのデメリットを補っている。

 計器飛行とは、航空機の姿勢、高度、位置、針路の測定を航空機上の計器だけに依存して行う飛行。地上の目標物を利用できる有視界飛行の場合は、計器飛行できない(航空法第93条)。

 海上保安庁の出動は、 たとえば、第十一管区海上保安本部長と沖縄県知事が急患搬送の申し合わせを締結している(海上保安庁法/沖縄県内における急患輸送等の救援に関する申し合わせ)。

 警察は、 個人の生命、身体、財産の保護の観点から救急搬送に協力している(警察法)。

安全・迅速・確実に人命を救済するという普遍的なミッションこそが「航空救急」の原点

 以上のように、ドクターヘリも防災ヘリも対応できない緊急救急を担うのが、自衛隊・海上保安庁・警察だ。

 つまり、生命保全や危機管理の観点から、ドクターヘリ、防災ヘリがどうしても出動できないほど危険性・緊急性・切迫性・特殊性などが高い場合に限り、自衛隊・海上保安庁・警察に出番が回ってくる。

 さて、 今年3月、長野県の山中に防災ヘリが墜落し、消防隊員、パイロット、整備士ら乗組員9人全員が死亡する不幸な事故があった

 航空救急は、患者の状況、天候、地形、災害などの諸条件によってケースバイケースで対応が変動する。しかし、安全・迅速・確実に人命を救済するという普遍的なミッションこそが、航空救急の原点でなければならない。

 ドクターヘリもメディカルジェットも防災ヘリも、常に「安全最優先」という不文律を肝に銘じて運用してほしい。
(文=ヘルスプレス編集部)

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