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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

4~6月に残業すると、1年間の手取り収入が減る?意外に重負担!損しない社会保険料の話

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所得税と住民税

 毎月源泉徴収される所得税・住民税は、給与の総支給額から社会保険料計を差し引いた後の金額に対して課せられます。毎月の所得税の源泉徴収額は、源泉徴収税額表を使って以下のように算定します。

 まず、課税支給合計額を確認します。課税支給合計額とは、基本給と時間外手当等の諸手当の合計です。ただし、通勤手当は一定額まで非課税なので、ここには含めません。

 次に社会保険料の額を確認します。健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料を合計した金額が社会保険料の額となります。最後に「給与所得の源泉徴収税額表」で、「課税支給合計額―社会保険料の額」(=その月の社会保険料等控除後の給与等の金額)と扶養親族等の数の交わるところの額を探します。

 Aさんの例では、

・課税支給合計額400,000-社会保険料合計60,684=339,316円

となり、扶養親族が2人いるので、源泉所得税額は6,720円となるわけです。

(国税庁HP「給与所得の源泉徴収税額表(平成29年分)」一部抜粋、赤丸は筆者追記)

 なお、住民税は昨年の所得に対して10%を乗じて計算する所得割と、所得にかかわらず納付する均等割を合わせて、毎月の給与から控除されることになっています。

残業と手取りの微妙な関係

 ここで、Aさんの今年の4月から6月の残業がたまたま多くて、標準報酬月額が50万円となった場合の手取り額について考えてみます。その後は残業がなく、給与が40万円だったとしても、9月分の社会保険料は50万円で計算された社会保険料(雇用保険料を除く)となります。つまり、

・健康保険料(健保)= 標準報酬月額500,000円×9.91%÷2 =24,775円
・健康保険料(介護)= 標準報酬月額500,000円×1.65%÷2 = 4,125円
・厚生年金保険料  = 標準報酬月額500,000円×18.182%÷2=45,455円
・雇用保険料   = 月額給与総額400,000円×0.3%   = 1,200円

となり、給与40万円から差し引かれる社会保険料は計7万5,555円となります。扶養親族2名ですので、源泉徴収税額表より所得税は6,110円。住民税は、昨年度の所得をベースにしたものなので変わらないものとすると、手取り額は

・額面給与400,000円-控除等75,555円-所得税6,110円-住民13,200円(昨年の所得に対する額)=手取額305,135円

となります。4月から6月の残業がなかったと考えた場合(手取額31万9,396円)と比べて、毎月1万4,261円手取りが少なくなるというわけです。

 もちろん、実際にどれくらい手取りに影響するかは、所得税の税率などによって変わってきますので、人によって異なります。社会保険料が多くなれば、所得税の金額は下がりますし、住民税についても来年の給与から控除される額が下がりますしね。また、社会保険料の納付額が少なければ、将来の年金の額も減りますから、いたずらに社会保険料を減らせばよいとは思いません。

 ただ、今回のケースのように、4月から6月に毎月10万円の残業代を得たものの、毎月約1万4,000円(年間約17万円)の手取りが減るとしたら、割に合わない気もしてくるのです。そのため、目先の残業代にこだわりすぎることなく、「その残業は本当に必要か」という視点を持つことが重要だといえるでしょう。

亮子「今思うと、私の先輩は徹底していたな。公認会計士は4月から6月までは繁忙期で、どうしても他の時期より残業が多くなりがちなのに」

啓子「社会保険の仕組みについても常に意識している会計士だからこその努力かもしれません」

亮子「もちろん、社会保険料の納付額が減れば、将来の年金や健康保険からの給付にも影響するけれど、社会保険料の負担が重いな、と思うのであれば、工夫の余地はあるということだね」

啓子「はい。社会保険も広く『税金』だと考えるならば、節税の手段だといえるかもしれません。働き方改革が叫ばれる昨今、まずはしっかりと給与明細と向き合って、無駄な残業を減らすきっかけにしてもらえればと思います」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

●徳光啓子
2009年 公認会計士試験合格
2011年 明治大学商学部卒業
2011年から2016年、有限責任あずさ監査法人に勤務し、主に上場の製造会社を中心に監査業務に携わる。
2016年から税理士法人タックス・アイズにて企業の各種税務申告業務や会計・税務コンサルティングを行う。また、茨城大学にて非常勤講師として原価計算論等の講義を行っている。

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