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新卒採用の8割が外国人、日本語能力問わない企業も…外国人採用が日本人を脅かす?

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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日本企業が日本人採用重視に傾く理由

 こうした動きを見る限り、外国人採用の動きがさらに広がる可能性もある。とはいっても、今は全体として外国人の採用が日本人学生の採用を脅かすまでには至っていない。外国人就職者が1万3000人といっても、全体から見ればごくわずかにすぎない。また、国内ビジネスが中心の企業では外国人採用意欲はそれほど強くない。

 毎年400人以上を採用している住宅販売会社の採用担当者は「外国人採用ニーズはない」と語る。

「現状では日本人学生の優秀な人材を確保できているし、コア人材として活躍できる外国人もいるだろうが、今の当社のビジネス環境では外国人の必要性を感じていない。海外にも進出しているが、現地のプロパー人材を雇えばいい話だ。ただし、日本の人口が減っているし、当社の人材要件に合う学生が増えれば外国人採用が現実味を帯びてくるが、今後数年は必要ないだろう」

 じつは海外事業を積極的に展開しているグローバル企業でも、外国人採用はそれほど増えてはいないと指摘するのは採用アナリストの谷出正直氏だ。

「外国人留学生を一定程度採用しているが、劇的に増えているという印象はない。海外要員として外国人を増やしていけば日本の学生の採用枠が狭まることになるだろうが、数としてはそこまでに至っていない。もちろん、進出先では現地の人材を採用しているが、日本の本社で雇う人は少ない。なぜなら日本人を海外に派遣したほうが、本社と現地のオペレーションがうまくいくと考えているからだ」

 グローバル企業といっても、日本本社では圧倒的に日本人が多く、外国人を幹部に育て上げようという気がなく、日本人だけで回していこうという意識を持つ企業が多いこともある。

 外国人を積極的に採用しないもう1つの理由は、グローバル企業も含めて日本語ができる人を求めているからだ。その結果、高度の技能を持ち、英語力はあっても採用されないという日本独特の事情もある。

 実際に外国人留学生の65%が日本での就職を希望しても、そのうち就職できたのは24.7%という結果もある(日本学生支援機構「外国人留学生進路状況調査」2013年)。

 新卒採用支援会社モザイクワークの杉浦二郎代表取締役はこう指摘する。

「日本企業の多くは残念ながら日本語のコミュニケーション能力を求めている企業が多い。エンジニアのようにスキル要件がはっきりしている場合は、多少日本語能力に欠けていても採用する企業はあるが、日本語が上手でないと、日本人でもいいじゃないかという話になってしまう。だが、外国人を受け入れる土壌がなく、多様性、ダイバーシティの観点でもまだまだ問題を抱えている企業も少なくない」

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