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新卒採用の8割が外国人、日本語能力問わない企業も…外国人採用が日本人を脅かす?

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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日本語能力を問わない企業も

 実はそのなかで、日本語はできなくても優秀なエンジニアを積極的に採用し、戦力化している企業もある。クラウドセキュリティ分野の開発・販売を手がけるHDEは社員130人規模の会社であるが、従来の新卒採用から通年採用に転換し、14年から日本語力を問わないエンジニアのグローバル採用を実施している。入社希望者はインターネット上でエントリーし、同じくネット上のスクリーニングテストとスカイプによる面接をクリアすれば日本でのインターンシップに参加し、合格すれば入社が決まる。

 求める要件は高度のITスキルだ。14年のスタート以降、世界各国から4000人以上のエントリーがあり、そのなかから40人がインターンシップに参加。現在約130人中20人の外国人が同社で働いている。出身国は台湾、インドネシア、タイ、マレーシア、中国、スイス、アメリカ、ドイツなど多彩だ。現在、外国人が開発の中核を担い、事業拡大を支えている。

 同社の高橋実人事部長は語る。

「日本語力という要件を外せば、世界の優秀な学生を採用できることがわかった。世界に日本で働きたいと希望する優秀な外国人は多い。求めるITスキルは日本でも相当高いレベルだが、日本人でもスクリーニングテストで合格した学生はいない。エンジニアは開発が中心であり、顧客との接点は営業が担当するので問題はない。大企業に比べて日本人学生の人気はなくても、日本語力にこだわる日本企業に比べて人材獲得においては大企業より優位だと思う」

 実際にインドネシアの理系トップの大学の首席クラスの採用にも成功している。同社は優秀な外国人人材を受け入れると同時に英語の社内公用語化に踏みきり、日本人社員の英語力強化も推進している。20年までに社員を250人から300人に拡大し、事業規模も海外も含めて10倍に拡大させる計画だ。

 あえて国籍、日本語力を問わない採用で優秀な人材を確保し、業績拡大を狙う。いかに優秀な外国人でも日本語でコミュニケーションできる人を求める大企業とは一線を画した採用戦略といえる。

 高橋部長によると、同社のように日本語力を問わない採用をしている日本企業は20社程度という。

「いずれ日本も優秀な人材の不足する事態になるかもしれない。そのときにせっぱ詰まって外国人を採ろうとしても、今ほど採れないかもしれない」(高橋氏)

 また前出の谷出氏はこう指摘する。

「人材不足の状況が本当に深刻になり、慌てて外国人を採用しても、文化・習慣が違うので定着するまでに10年はかかるだろう。その点、すでに外国人を採用している企業はノウハウが蓄積していくし、いずれノウハウを持たない企業との決定的な差となって企業業績にも大きな影響を与えるだろう」

 いうまでもなく企業業績の源泉は人材競争力である。外国人学生と日本人学生を巻き込んだ人材獲得競争が起きるのは間違いない。
(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)

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