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「おいしくなった」かっぱ寿司、実はお得度低い食べ放題、なぜ客殺到で完全成功?

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

なぜ客が殺到したのか

 一方、お客にしてみれば、大食漢な方を除いて、それほどお得感はないのではないか。それにもかかわらず、なぜ多くの人がかっぱ寿司の食べ放題を利用したのだろうか。

 筆者は、良くも悪くもかっぱ寿司の話題がネットを中心に渦巻いていたからだと考えている。「業績が悪化している」という話題が渦巻いていたのだ。

 かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトの業績は悪化している。17年3月期決算の最終損益は58億円の赤字だ。15年3月期決算(決算日変更のため13カ月の変則決算)も134億円の赤字を計上している。そのことを筆者は各種媒体で記事化してきたし、ほかにも多数記事化や報道がなされてきた。

「かっぱ寿司は業績が悪いらしい」といった情報が拡散されていき、かっぱ寿司が注目されるようになった。そうしたなかで食べ放題を行ったため、「最近話題のかっぱ寿司の食べ放題に行ってみようか」となったのではないかと筆者は推測している。

 業績が悪化しているという情報は、決して良いイメージではないだろう。しかし、それでも話題に上るということには大きなメリットがある。「悪名は無名に勝る」という言葉の通り、注目されていないよりは注目されているほうがいい。

 たとえば、ドナルド・トランプ米大統領も、「悪名は無名に勝る」が重要であると自身の著書でも述べている。また、著書『トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ』(ちくま文庫)で「個人的には不愉快に感じるような批判的な記事でも、ビジネスには大いに役立つこともある」と述べ、話題になることはいいことだと主張している。実際に、トランプ氏は意識的に話題になるような言動を繰り返しているのは周知の通りだ。トランプ氏については賛否があるだろうが、「悪名は無名に勝る」を体現して大統領になれたといってもいいのではないだろうか。

 もちろん、道理に反する悪名は問題がある。最近の例でいえば、タカタの欠陥エアバッグの問題がそうだろう。多数の死傷者を出して注目されたが、これは道理に反する悪名だろう。このような悪名のなかでは、何をしても叩かれるだけだ。

 一方、かっぱ寿司の悪名は業績が悪化しているだけで道理には反していない。問題を起こして業績が悪化しているわけではない。「業績が悪い」という、どこででも起こり得ることが話題になっているだけである。

 そうしたなか、少し変わったキャンペーンを行えば、多くの関心が集まるだろう。業績悪化以外にも、少し前までは「まずい」という悪名もあったが、それは過去のものになりつつある。筆者が以前執筆した記事でも指摘したが、かっぱ寿司はおいしくなっている。「まずい」という悪名は薄れつつあるし、「おいしくなったと聞いているので久しぶりに食べてみようか」といった感じで許容されるようになっているのではないか。

 以上の理由により、多くの人がかっぱ寿司の食べ放題に足を運んだと推測している。いずれにしても、今回の食べ放題は成功した。そして、多くの人においしくなった寿司を食べてもらうことができたはずだ。復活のきっかけにはなったと考えていいだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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