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『黒革の手帖』、「存在感ゼロの主役」武井咲が好演の脇役たちに食われる問題深刻

文=美神サチコ/コラムニスト
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1707_kuro550.jpg『黒革の手帖』公式サイトより

 武井咲主演の連続テレビドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)が7月27日に第2話の放送を迎え、平均視聴率12.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。初回11.7%から0.6ポイントも上昇したのは、武井演じる原口元子以外のキャラクターが光った結果といえそうだ。

 元子は銀行の派遣社員時代に、違法な“借名口座”を持つ人々のリストを“黒革の手帳”に書き記し、それをネタに職場から1億8000万円を横領。その金で自身のクラブ「カルネ」を出店し、“銀座で1番若いママ”となった。

 第2話では、元子は銀行の同僚・山田波子(仲里依紗)と再会し、「カルネ」のホステスとして働いてみないかと誘う。初めは戸惑っていた波子だったが、美容クリニックの院長・楢林謙治(奥田瑛二)に気に入られたことで、「お金稼ぐのって、こんなに簡単だったんだね」と口にするまでに。

 その後、波子は楢林に出資させて「カルネ」と同じビルにクラブをオープンさせようとするなど、銀座の“暗黙のルール”を破りまくる。これには元子も黙っていららず、“黒革の手帳”を使って楢林を脅し、波子に制裁を加える……といった展開だった。

 今回視聴者の目を引いたのは、まずは何といっても波子の豹変ぶりではないだろうか。波子を演じる仲は、4月期に話題をさらった連ドラ『あなたのことはそれほど』(TBS系)で夫に不倫される妻・有島麗華役の好演が記憶に新しい。

 真面目な麗華と流されやすい波子は、一見すると真逆のタイプのようだが、実は2人には“悲壮感”という共通点がある。けれども、そこに仲が持つ“ピリッとした強さ”が存在することで、「ただ悲しいだけの女」には見えなくなるから面白い。

 そして、今回はもう1つ……楢林とその愛人・中岡市子(高畑淳子)の関係性と展開にも着目せずにはいられない。楢林は波子に夢中になった結果、30年も自分を支えてくれた市子をアッサリと捨てた。一応、男目線になって考えてみると、オバサンよりも若い子に魅力を感じてしまうのは仕方がないのかもしれない。

 しかし、いくら目の前に若くて可愛い子が現れたからって、波子はあくまでもホステスであり、楢林相手に愛想を振りまいたり甘えたりするのは仕事の一環……“色恋営業”のようなものだ。これは女性目線とはいわずとも、冷静になれば男性でもわかることかもしれないが、楢林のようなタイプは盲目状態になるのだろう。

 もちろん、楢林はそれなりにお金があるから遊べていて、波子にも本気になっているワケではなさそうだった。だが、それなら尚更、あんなに手酷く市子を斬り捨てなくてもよかったのではないか。結果的に、傷ついた市子は元子の指示で楢林のクリニックの“裏帳簿”を持ち出し、これが後に楢林を苦しめることになる。もしも楢林が市子をぞんざいに扱わなければ、市子も楢林を裏切るような真似はしなかっただろう。男女の“別れ方”がその後にどう影響するか、教訓を見せられたような気がする。

 このように第2話は主役の元子よりも、周囲のキャラクターのインパクトが強かった。インターネット上では相変わらず武井批判も多いが、脇を固める登場人物たちの人間模様を楽しむつもりで見てみるのもアリかもしれない。
(文=美神サチコ/コラムニスト)

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