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新国立競技場建設、過労死を招いた東京五輪組織委と大成建設の罪…想像絶する過酷現場

文=深笛義也/ライター

 その時に、先輩や同僚も一緒にやるならまだいいけど、『おまえ、やっとけよ』と先にどんどん帰ってしまうと、一番下の人だけが夜中まで作業をやることになる。昔だったら仮眠室があったりして、現場事務所に泊まり込むこともできたのです。だけど今は表向き、そこまで残業をやっていない“フリ”をしてるから、そういうケアもない。自腹でサウナとかカプセルホテルに泊まるか、泊まるような設備もない事務所で寝るということになってしまう。今回亡くなった方は実家暮らしで、無理して帰って朝早く出ていたので、その分だけ睡眠時間も削られていて、相当にきつかったでしょう」

 現場の作業員たちに関しては、問題はないのだろうか。

「不況が長かったため、全国的に作業員の数が減っています。建設現場というのは、日雇いの人を集めて『やっとけ』と言ってやれるわけではありません。何年か訓練を積んでいないと、きちんとした作業はできない。もっとも人口の多い団塊の世代の職人さんたちが70歳を越えて、もう引退し始めています。以前から、『そうなれば技術の伝承ができなくなる』と言われていましたが、それが現実のものになっています」

 今回の痛ましい自殺は、偶発的な事件ではなく、構造的に起こったことといえよう。東京五輪・パラリンピックの大会ビジョンには、「すべての人が自己ベストを目指し」「一人ひとりが互いを認め合い」「そして、未来につなげよう」とある。責任感の強さゆえに、自らの未来を閉ざしてしまった1人の若者の死から目を背けるなら、それは“欺瞞の大会”にしかならないのではないか。
(文=深笛義也/ライター)

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