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バイアグラは心臓病にも有効?

文=ヘルスプレス編集部
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ED治療薬「バイアグラ」は心臓にも効く? 心疾患「ステント治療」でも有効だと判明!の画像1バイアグラは心疾患の治療にも有効(depositphotos.com)

 ED治療薬「シルデナフィル(商品名:バイアグラ)」の以外な効果が判明した。

 男性の勃起不全(ED)に対する効果があるとされるバイアグラが、虚血性心疾患に対する「ステント治療」にも有効――。

 ソウル大学病院(韓国)のHan-Mo Yang氏らの研究チームが、7月に開かれた米国心臓協会(AHA)のBasic Cardiovascular Sciences学術集会(BCVS )で、こう報告した(7月10日付「HealthDay News」)。

ステント留置後に経口投与すれば治療後の再狭窄に有効

 血管内にステント(小さな金属製の筒状の医療機器)を留置して血管を広げる「ステント治療」は、「心筋梗塞」や「狭心症」の標準治療として普及している。

 しかし、金属がむき出しの「ベアメタルステント(BMS)」は、血管の内膜が増殖して肥厚するため、血管が再狭窄するリスクがある。一方、ステントに薬剤を塗布した「薬剤溶出ステント(DES)」は、再狭窄リスクは少ないが、ステントの周囲に血栓ができるリスクがある。

 発表によれば、Yang氏らは実験でバイアグラが血小板の凝集を30%も抑制することを確認。また、バイアグラをラットに使用すると、動脈壁の肥厚を防ぐ酵素であるプロテインキナーゼG(PKG)の活性が増強された。

 つまり、ステントの留置によって血管が損傷すると、PKGの活性が低下し、血管壁の肥厚や血小板の凝集が促進されるが、バイアグラはPKGの活性を強化する事実が確かめられた。

研究者たちの評価は?

 Yang氏は「ラットを用いた研究なので、ヒトを対象とした大規模研究で検証しなければならないが、バイアグラはDESに塗布する薬剤としても、ステント留置後に経口投与する薬剤としても適している可能性がある。バイアグラがステント治療後の再狭窄に有効であることが確認されれば、すぐにも利用できる」と説明する。

 米ノースショア大学病院の心血管インターベンション治療医であるAvneet Singh氏も「ステント治療にバイアグラを用いるアプローチは有望だ。血栓や瘢痕化(血管の損傷)による再狭窄リスクは、ステント治療の弱点であるものの、バイアグラがさらに安全かつ有効なステント治療をもたらすかもしれない」と期待する。

 一方、米レノックス・ヒル病院のCarl Reimers氏は、「この研究は心臓に近い冠動脈ではなく、心臓から脳へつながるラットの頸動脈を用いて行われたので、現時点では、臨床的意義があるかどうかを判断しかねる」と、やや否定的だ。

 なお、この研究結果は、査読を受け、米国心臓協会(AHA)などの医学誌に掲載されるまでは予備的な成果とみなされている。

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