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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

安い&広々した「ファミリー向け賃貸住宅」、あと約5年で大量供給…持ち家幻想崩壊

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 ファミリー用の賃貸物件がない、などと嘆かずとも、向こう数年のうちに大量の供給が控えているのだ。

生産緑地法

 ファミリー向けの賃貸マンションやアパートが今後都市郊外部で大量に出てくることを後押しするのが、生産緑地法をめぐる動きだ。
 
 生産緑地法とは、1974年に大都市圏の一部の市街化区域内における農地の宅地化を推進するために交付された法律である。この法律は当初、指定された区域内にある農地に「宅地並み」の固定資産税を課すことで、都市部に残る農地を宅地化しようと考えられたものだった。とにかく宅地が足りない時代に、少しでも農地から宅地に転用させようという目論見が法律制定の裏にあったのだ。

 ところが、区域内においてもまじめに農業をやろうとする住民がいるとの声に配慮して、91年3月に生産緑地法は改正になり、92年度より生産緑地制度が導入された。自治体に申請された農地で敷地面積が500平方メートル以上で期間中は営農に専念するなどの一定条件を満たせば、30年間にわたって固定資産税は農地扱いとし、相続税については納税猶予となったのだ。対象となったのは、東京23区、首都圏、近畿圏、中部圏内の政令指定都市その他整備法で規定された一部の地域とされた。

 現在この生産緑地として登録されている面積はどのくらいあるのだろうか。国土交通省「都市計画現況調査」(2014年)によれば、14年3月末現在でその面積は1万3654ヘクタールにも及んでいる。首都圏(1都3県)でこのうちの57%に当たる7747ヘクタール、これに愛知、大阪を加えると81%が該当することとなる。東京都だけでもその面積は3330ヘクタール、つまり東京ディズニーリゾート33個分の面積が「都市型農地」として眠っているのだ。

 これら生産緑地の多くが30年の期間満了を迎えるのが、実は2022年ということになる。

 これまでは農業専門に働いてきた人たちも生産緑地にしてすでに30年がたてば、事業承継や相続の時期に差し掛かる。22年を契機に大量の都市型農地が、生産緑地の解除を申請してくることが容易に予想される。

 具体的には、生産緑地を解除する場合には、地元市町村に対して「買い取り申請」を行い、時価で買い取ってもらうのが原則だ。しかし、財政難にあえぐ自治体が多い中、すべての生産緑地を買い取るのは、到底不可能だ。そこでほかに生産緑地として買い取る人がいないか斡旋するのだが、該当者がいなければ、宅地並みの課税が施されるため、多くのオーナーは土地を有効活用するか、または売却することになる。

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