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土屋健「楽しい古生物・化石の世界」

夏休みに必見!「ギガ恐竜展」が大迫力!ティラノサウルスの3つの謎&戦いの痕跡を堪能

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 3つ目は、ごく最近の話題である。ここ数年、ティラノサウルスをめぐって「羽毛で覆われていたのか否か」が議論の的となってきた。ティラノサウルスそのものには羽毛化石や羽毛があった痕跡は確認されていないものの、近縁種に羽毛が確認されていたため、「おそらくティラノサウルスにも羽毛があっただろう」という見方が主流になりつつあった。

 しかし、今年6月、オーストラリアのニューイングランド大学のフィル・R・ベルたちがティラノサウルスの「鱗の痕跡」を報告したのだ。この論文では、ティラノサウルスの全身の各所から鱗の痕跡を確認した。ベルたちは、ティラノサウルスは羽毛で覆われておらず、羽毛があったとしても極めて限定的であると指摘した。

 この「鱗の痕跡」が確認されたティラノサウルス標本こそが、ワイレックスである。会場内には、その「鱗の痕跡」の展示もされているため、必見だ。また、イラストレーターの月本佳代美氏による“背中にちょっとだけ毛を生やしたワイレックス”の復元画もあわせて確認したい。

肉食恐竜の頭骨を比べてわかる

 ティラノサウルスを堪能した後は、その周囲に展示されている肉食恐竜の全身骨格に注目してみたい。

 ティラノサウルスは、「獲物を骨ごと噛み砕く」と言われるほどに強力な顎の持ち主だ。その頭骨は横幅があり、とても力強い。しかし、周囲に配置されている肉食恐竜たちの頭骨はどうだろうか。

 たとえば、アクロカントサウルス(Acrocanthosaurus)は獲物の肉を切り裂いて食べるタイプ。そのあごにはティラノサウルスほどの力はなく、頭骨には横幅がない。スコミムス(Suchomimus)は、魚食性とみられている。水中で魚を捕らえるには、幅がより狭いほうが水の抵抗が少なくて済む。

スコミムスの正面。ほっそりした顔つきだ。(撮影=オフィス ジオパレオント)

 こうした展示は、顔の正面から見ることのできるような配置になっている。ぜひ、その生態に思いを馳せながら、頭骨(特に横幅)を確認してほしい。

 ティラノサウルスとその近縁種に注目しても、やはり頭骨の大きさや幅は見どころである。ディロングの頭骨はどうか。ユウティラヌスの頭骨はどうか。ぜひ、親子やカップルで会話を弾ませながらの“頭骨観察”をオススメしたい。

 もちろん、展示されている標本は肉食恐竜ばかりではない。植物食恐竜たちの皮膚の痕跡や“ミイラ”、脳函(脳が入っていたケース)の断面などもある。それぞれの展示を見逃すことなく、味わって見ていただきたい。
(文=土屋健/オフィス ジオパレオント代表、サイエンスライター)

【参考資料】
『ギガ恐竜展2017図録』

『Tyrannosaurus rex THE TYRANT KING』編:Peter Larson,Kenneth Carpenter,2008年刊行,Indiana University Press

Bell PRほか,2017年,Tyrannosauroid integument reveals conflicting patterns of gigantism and feather evolution. Biol. Lett. 13: 20170092. http://dx.doi.org/10.1098/rsbl.2017.0092

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