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バーバリーを失った三陽商会、一斉大量閉店の危機的状況…アパレルなのに他社ブランド頼み

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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ジリ貧状態から脱却する策は?

 三陽商会は構造改革を推し進めている。11ブランドの撤退と不採算売り場の撤退を掲げ、ブランドの再構築を図るという。17年1〜6月期では、計画より22多い162の売り場を閉鎖した。一方で、9月からセレクトショップ向けの自社ブランド「サンヨー コート」の新しいコンセプト商品群を売り出すなど、新しい試みも行っている。構造改革はある程度進んでいるといってもいい。

 ただ、根本的な問題は解決されていない。そのひとつが百貨店に依存したブランド展開にある。クレストブリッジやマッキントッシュ、エポカなどを展開する売り場の多くは、百貨店にある。

 かつての百貨店は隆盛を極め、商品を並べれば飛ぶように売れた時代もあった。そうした時代に三陽商会は百貨店でのブランド展開を推し進め、百貨店の成長とともに事業を拡大することができた。しかし、今の百貨店にはその頃のような勢いはなく、今や見る影もない状況に変わってしまっている。百貨店の退潮が著しく、歩調を合わせるように成長できなくなってしまったのだ。

 日本百貨店協会によると、16年の全国百貨店売上高は5兆9780億円で36年ぶりに6兆円を割り込んだ。ピークの91年からは約4割も減少している。退潮が著しい百貨店に依存していてはジリ貧になる一方といえるだろう。

 そうなると、百貨店以外の販路、たとえば商業施設などでの展開を考えていく必要がある。既存のブランドでの展開が難しいのであれば、そういった販路に適した新たな自社ブランドを開発する必要もある。

 これまでの成功体験は捨てるぐらいの覚悟が必要なのかもしれない。それは、新たに立ち上げたマッキントッシュ・ロンドンにもいえる。当初想定していた成長が得られないようであれば、同ブランドを撤退させることも必要ではないだろうか。今のところは成長しつつあるが、予断を許さない。

 赤字からいまだに脱却できない三陽商会の姿が、今回の決算で浮き彫りとなった。一層の構造改革が必要といえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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