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金網折り紙「おりあみ」、世界的ブームの予兆…町工場の「想像を絶する美」の技術

構成=長井雄一朗/ライター
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金網折り紙「おりあみ」、世界的ブームの予兆…町工場の「想像を絶する美」の技術の画像1石川金網の「おりあみ/ORIAMI」

 金網折り紙「おりあみ/ORIAMI」をご存じだろうか――。

 これは、日本の伝統文化「折り紙」を金網で実現する世界初の技術だ。開発したのは、東京・荒川区の石川金網。金網やパンチングメタルの専門メーカーだ。

 布のようにしなやかな金網を使い、固い紙でつくる折り紙と同様に制作可能な「おりあみ/ORIAMI」。現在、EC(電子商取引)サイトを中心に販売しており、今後は世界に向けて拡大販売する方針だ。下町の知られざる企業が開発した「おりあみ/ORIAMI」は、なぜ生まれたのか。同社の石川幸男社長に話を聞いた。

職人の遊び心から誕生した逸品

――まず、「おりあみ/ORIAMI」開発の経緯からお願いします。

石川幸男氏(以下、石川) リーマン・ショックのとき、お客様の需要がほぼなくなって当社の業績は悪化し、開店休業状態が続きました。既設の仕事はいうまでもなく、新規の受注もない状態がしばらく続き、大変困っていました。

 当時、同じような状況の会社は多くあったのではないでしょうか。知り合いの会社は火曜と木曜は自宅待機していましたが、「このまま、どんどん景気が悪くなるのか」と誰もが不安だったと思います。そこで、当社では金網を活用して新規のマーケットを模索していました。

 以前、東京都内の中小企業とデザイナーの協働を目的とした企業参加型コンペティション「東京ビジネスデザインアワード」に出展し、入賞したことがあります。その際、多摩美術大学と連携して自社製品を見直し、「新しい製品を開発できないか」と考えました。

 その後、荒川区の産業展に繰り返し出展した金網製品が好評で売り切れました。次に、世界最大級のハンドメイドイベント「日本ホビーショー」に出展したところ、ORIGAMIアーティストの宮本眞理子氏と出会いました。宮本氏に折っていただいた折り紙が素晴らしい出来映えだったので、日本折紙協会の監修と宮本氏による技術指導を経て「おりあみ/ORIAMI」の完成に至りました。

金網折り紙「おりあみ」、世界的ブームの予兆…町工場の「想像を絶する美」の技術の画像2

――「おりあみ/ORIAMI」の特徴や概要を教えてください。

石川 まず、布のようにしなやかな金網を使い、紙で折る折り紙と同様に制作可能な点です。金属の持つ剛性と極細線の特徴によって、紙を使用したときと比べて、しっかりと形状を保ちます。

 小物入れや整理箱などの文具としても使用できます。また、金属でできた折り紙は、半永久的に鑑賞することができます。日本の町工場の職人の高い技術によって実現した逸品であり、熟練職人の遊び心から誕生した製品といえます。

金網折り紙「おりあみ」、世界的ブームの予兆…町工場の「想像を絶する美」の技術の画像3

 金網は、線と線で織り上げた織物です。なかには、髪の毛よりも細い20ミクロンの線もあります。平織、綾織、畳織など繊維と同じく多様な織り方があります。材質もステンレス、銅、真鍮、アルミニウム、チタニウムなど多岐にわたります。

 これらの織り方、材質、線の太さを考慮して、数十種類の金網折り紙をつくりました。2015年12月に発表して、現在に至ります。

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