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ファンを裏切った『コード・ブルー』、フジ制作陣は登場人物に愛情を持っているのか?

文=西聡美/ライター
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『コード・ブルー』を、すでに期待を持って見ることはしていない。多分がっかりするだろうと、ある程度の覚悟を持って見ているのだが、それを上回る不快感を抱かせてくれる第6話だった。フジ制作陣に「登場人物の1人1人に愛情を持っているのか? 1人1人が心の中で本当に生きているのか?」と聞きたくなる。

 もう導入から心を叩きのめしてくれて、冴島の復活をあんなに軽く扱うなら流産なんてさせないでほしいと心の底から思った。一連の赤ちゃん騒動は冴島の株を下げただけではないか。視聴者が納得するような落としどころがないままに、冴島だけが心の整理をして何事もなかったかのように第6話にいる。違和感があり過ぎて、あまりにもお粗末な冴島の人生の描き方に腹が立ってしまった。

 緋山と脳死少年との入りも最悪だった。白石とぶつかって床に落とした脳死判定承諾書の書類を拾おうともしない緋山に、その後良いセリフを言わせても説得力がない。何で冒頭にこんな描写を持ってくるのか? この出だしで「緋山にとってどうでもいい書類」と瞬間的に認識してしまったので、後半にどんなに良いことを言っても全部嘘に思えて感動なんてゼロだった。

 フェローたちのことはもう書ききれないので置いておくが、奏が藍沢に「嘘つき!」と吐くシーンにもウンザリとした。もっと丁寧に奏の感情を見せてくれて、やりきれなさや、藍沢にしかぶつけられない深い何かを視聴者がキャッチできていればいいのだが、この重いセリフを言わせるにしては、それまでの描写が薄過ぎる。来週の予告から予想するに、手術中に何か秘密があったようだが、描く順番が悪いせいで奏の存在を受け入れにくい。こんな小娘が藍沢とおばあちゃんとの関係を超えていくのか? 藍沢の医者としての人生をこんなに適当なエピソードで汚さないでほしい……。

 単体でこの第6話だけを見れば、緋山の不倫話や冴島のグダグダもなくテーマがはっきりとしてはいたが、第1話からを通して考えると、どのキャラクターも人格に一本筋が通っていなくて、ストーリーの展開に合わせて成長が止まったり、人格が変わったり、適当に流されたり、ととにかく滅茶苦茶である。

 普通はキャラクターの人格が中心にあって、その上でストーリーが展開されるものではないか? 第1話で白石がリーダーとして現場を仕切り出したとき、成長して現場を牽引していく5人の活躍が見れるのがシーズン3かと期待した。あの描写に期待を持たされたのに、白石が第1話以降、まったくリーダー色を出していないことにも疑問を感じる。

 撮影現場では色々な制約もあるだろう。しかし、根本的に脚本家が登場人物に心を注いでいないように感じてしまい、登場人物たちが可哀そうに思えてくる。もう6話まできてしまった。魅力的だった登場人物たちをこれ以上嫌いにならないためには、見ないことが一番なのかも知れない。でも、一度愛着を持った作品やキャラクターを簡単に切り捨てることもできない……今の視聴率はそんな視聴者の状態を表わしているように感じる。
(文=西聡美/ライター)

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