NEW

JTが抱える「時限爆弾」

文=編集部

 海外事業を担うJTインターナショナル(JTI)はスイスに本社があり、JTIが世界本社だ。JTIにぶら下がるローカル本社がJTという構図になっている。

 たばこ業界では、世界規模での再編が相次いでいる。BATは今年1月、米2位のレイノルズ・アメリカンを5兆6000億円で買収することで合意した。世界最大手のPMIはマルボロを持つ米首位のアルトリア・グループと、もともとルーツが同じで、最近は再び一緒になる可能性が取り沙汰されている。

 JTは再編に関してBATやPMIに出遅れたため、アジアやアフリカ、南米など新興国市場の開拓に乗り出した。インドネシアやフィリピンでの1000億円規模の買収がその具体的な表れといえる。ブラジルやドミニカ共和国の現地企業を買い取り、エチオピアのナショナル・タバコ・エンタープライズにも40%、510億円出資した。

 小規模なM&Aを積み重ねることで、アフリカ、中東市場の開拓を進める。新興国市場に活路を見いだそうとする作戦だ。

のれん代は1兆6000億円

 JTの17年12月期第2四半期(17年1月~6月)の連結決算(国際財務報告基準=IFRS)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比3%減の1兆453億円、本業の儲けを示す営業利益は同9%減の3132億円と減収減益だった。

 海外のたばこ事業が売上収益の59%、営業利益の62%を占めている。海外のたばこ事業に「オンブにダッコ」されているのが実態だ。世界120カ国で事業展開しているが、上位2社は200カ国前後に進出しており、見劣りする。

 アキレス腱は、積み上がったのれん代だ。17年6月末時点ののれん代は1兆6297億円。総資産の35%、自己資本の61%に達する。日本会計基準では、のれん代を20年以内に均等償却することが義務付けられている。IFRSでは、決算期ごとにのれん代を償却しなくてもよい。JTがIFRSに移行した理由がこれだ。

 だが、IFRSは毎期、事業の減損を厳密に査定しなければならない。事業価値が目減りしたと判定されると、一気に減損処理をしなければならなくなる。

 JTは会計コンサルティング会社と助言契約を結び、毎期のれん代の価値を評価する体制を整えた。それでもJTは、いつ破裂するかわからない、のれん代という名の時限爆弾を抱えているといって過言ではない。
(文=編集部)

情報提供はこちら
RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合