
韓国で大ヒットしたドラマ『ごめん、愛してる』が日本でリメイク。TBS系にて放映中だが、日本での視聴率はイマイチ伸びず、苦戦を強いられているのが現状だ。今回は、その原因を検証してみたいと思う。
原作ではスター歌手だったキャラクターがピアニストになっていたり、大女優役だったところが大物ピアニストになっていたりと、設定に若干のアレンジはされているものの、ストーリーの基軸は韓国の原作ドラマになぞられて書かれている。
ストーリーを簡潔に述べると、母親に捨てられた主人公が実の母親を探し出す。しかし、そこにはすでに息子がいて、母親に溺愛されている。それを見た主人公は自分を捨てた母に復讐を誓う――と、ストーリーだけみれば、ドロドロ展開満載の昼ドラ仕様の陳腐なストーリーである。
原作ドラマで異なる点で印象的だったのは、長瀬智也演じる岡崎律が携帯で自撮りをして、動画メッセージを残すというシーンが若干のアレンジというところか。でもこれも、最後、主人公が死んだ後にどうせ母親が見る、という感動ストーリーになるんだろうなあと安易に予測できてしまうが、果たしてどうか。ちなみに韓国ドラマでは、主人公が実の息子だったということは、伏せられたままジ・エンドだった。
正直、古臭さのフルコース。“死”や“格差”、“いじめ”といった王道すぎるソースを現代風にアレンジすることなく、そのまま垂れ流しにするもんだから、時代錯誤感が甚だしく正直ついていけない。
言ってしまえば、90年代の人気ドラマ『家なき子』(日本テレビ系)や『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(TBS系)などを見せられているようなもので、人間の汚い部分(これは今でも一緒)をストレートに見せていた90年代とは違い、今は2010年代。人間の汚さ、泥臭さは変わっていないが、臭いものに蓋をしろ感がすごい。いじめを助長するからとバラエティー番組は規制が厳しくなったし、お色気番組だって減った。今やBPO天下のテレビ業界である。人間の煩悩が制御された状態の、いわば人間総IT化時代到来。
話はそれたが、よって昨今は、昨年の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)に代表される、結婚できないやらしないやらといったかる~い恋愛ものがヒットするように、重いテーマを描くドラマは、ドラマ自体に引き付ける要素が相当ない限り、視聴率を獲得することは厳しいといえる。