異常破裂の原因については、自動車メーカーが第三者に委託するかたちで調査に乗り出したが、原因ははっきりしなかった。ただ、硝酸アンモニウムが吸湿すると異常破裂するとの見方が強まる。異常破裂の原因の解明に時間がかかるなか、自動車メーカー各社はエアバッグの異常破裂による批判をかわすため、自主的なリコールに踏み切った。通常、欠陥があった場合、不具合の原因を明確にしてから対象を確定してリコールする。リコール処理費用は、リコール原因となった部品を製造した部品メーカーと自動車メーカーが責任の分担割合に応じて負担する。

 タカタ製エアバッグの場合、原因が解明されてからタカタにリコール費用の一部を求償することとし、自動車メーカーが費用を全額立て替えるかたちで自主的にリコールしてきた。これが、自動車メーカーがタカタに対して抱える1兆4000億円を超える巨額な債権だ。そしてタカタの問題がここまで拡大したのは、異常破裂の原因の究明が難航したことが背景にある。

進まない調査

 タカタが6月26日に民事再生法の申請後に開いた記者会見で、高田重久会長兼社長は「(硝酸アンモニウムのインフレータは)自信を持った製品。不具合が発覚してから調べたが、原因は不可解。化学の専門家がテストし、解析もしたが最終的に再現できない。何が悪かったのかはいまだにわからない。当局も解析しているが最終的に決着がついていない」と、経営破たんした段階でも真の原因が解明されていないことを主張した。

 実際、自動車メーカーは、欠陥エアバッグの原因物質が硝酸アンモニウムにある可能性は高いと考えられるものの、異常破裂の真の原因については曖昧にしたままだ。タカタの欠陥エアバッグが大きな問題となっていた当時、日本自動車工業会の会長だった池史彦氏(当時ホンダ会長)は「自動車メーカーは機械に関する専門家は多いが、化学物質に関する知見が不足していた」と述べ、自動車に使われている火薬やバッテリー液などの化学物質の経年劣化などを調査する方針を表明した。しかし、その後に自動車に使われている化学物質についての調査が進んでいる気配はない。

 ある自動車メーカーの役員は「専門家が2年以上かけて調べてもインフレータが異常破裂する原因がわからないのに、専門外の自動車メーカーが手を出せる領域ではない」と解説、当時の池会長の発言は「勇み足」と指摘する。

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