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小林敬幸「ビジネスのホント」

日本の核保有と在韓米軍の不都合な真実…北朝鮮のICBMで日本の危険度は増えない

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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日本の核保有と在韓米軍の不都合な真実…北朝鮮のICBMで日本の危険度は増えないの画像1北朝鮮が弾道ミサイル発射 ICBM発射実験に成功と発表(KCNA/UPI/アフロ)

 北朝鮮への対応において、何かと不都合があって関係者が口にはしないものの、厳然とした真実がいくつかある。どれも、日米韓が一枚岩で協力するのを難しくする事実である。お互いその不都合な真実を認めた上で、協力を誓うほうがより固い結束になると思うが、どうだろうか。

ICBMの重要性が日米韓でまったく違う

日本の核保有と在韓米軍の不都合な真実…北朝鮮のICBMで日本の危険度は増えないの画像2『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店

 北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を持つことの重要性が、日米韓でまったく異なる。

 米国は北朝鮮がICBMを持つと直接の攻撃を受ける脅威にさらされるので、大騒ぎになっている。

 一方、日本にとっては、北朝鮮が日本を射程に入れた中距離弾道弾を持ったときからあとは、ICBMを持ったからといって、危険度が増えているわけではない。だから、北朝鮮のICBMの開発は、日本にとっては米国ほど重要ではない。

 また、韓国にとっては、すでに通常兵力でソウルを猛攻撃されうる状態になっており、それ以後は北朝鮮が中距離弾道弾を持とうが、ICBMを持とうが、危険度は増えない。だから、北朝鮮の中長距離ミサイル開発は、韓国にとって日米ほど重要ではない。最近、海外各国のメディアがソウルの街中でインタビューしても、市民が平然としているのも、彼らにとっては危険度が変わっていないからだ。

 このように、ICBMの重要性が日米韓で異なるという「不都合な真実」には触れないで、日韓の政治的リーダーは北朝鮮がICBMを持つことの危険性を訴え、その近辺にレッドラインがあると強調している。それは、日韓の市民にとっては、腑に落ちないものがある。

 米国の危険性が増しているのを同盟国として座視しないという意思表明なのだと、率直に説明したほうがわかりやすい。

在韓米軍が米軍を弱めている

 
 米国による北朝鮮への先制攻撃の可能性について語るとき、米軍は約2万9000人の在韓米軍を危険に晒す先制攻撃はしないといわれる。これが事実なら、在韓米軍が米軍の戦略的自由度を減じている。あるいは、たとえ事実でないとしても、そう外部から思われているだけで、戦略的自由度を減じている。つまり、在韓米軍の存在そのものが米軍を弱めている。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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