イト(久保田紗友)や衛(佐藤二朗)は、普通なら必死の説得に応じて心を入れ替えるであろう場面でも考えを変えず、さらに悪い方向へと進んでいく。誰かが説得したくらいでそう簡単に考えが変わらないのが現実的だとはいえ、視聴者に期待させておいて「そうは都合よくいきませんでした」と、作り手に言われているかのような展開ばかりを見せられても気分が悪い。

 だが、一方で正高の実家の問題だけはなぜか都合よく運び、正高の妹・教子(濱田マリ)が子どもに好かれるから新しい施設を作ろうという超展開に。教子の父・正興(平泉成)が教員免許を持っており、母の多枝(梅沢昌代)は調理師免許を持っているから、教子が保育士の免許を取れば万事オッケー、場所も確保済みというなんとも適当な流れで一件落着してしまった。

 考えてみれば、「誰かが死んだことでみんなの目が覚める」という筋立て自体もなかなか安易ではある。また、カホコの親や親戚たちの距離感のなさを批判的に描いていると思われた本作が、最終的に「家族がひとつにまとまって仲良くするのが一番幸せ」的なオチになろうとしているようでもあり、残念だ。

 カホコの成長をきちんと描かないまま、結婚させようとする脚本もどうかと思う。経済力のない初と社会経験のないカホコが結婚したところで、素直に喜ぶ気になれない。さらに言えば、カホコは確かに過保護の殻をかなり脱ぎ捨てたのかもしれないが、今度はカホコ自身が親族たちに対して過保護に振る舞おうとしているように見える。本作は社会的なテーマがあるように見せかけて、実は何も深く考えられていない底の浅いドラマだったのではないか。そんなことを考えてしまう。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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