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大塚家具、「中古家具店に成り下がり」…リユース&大安売り押し出しでブランドイメージ失墜

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 リユース事業を軌道に乗せるためには、宣伝は欠かせないだろう。認知されなければ始まらないことは確かだ。ただ、リユース事業の大々的な宣伝は諸刃の剣といえるだろう。店頭では「リユース」「店頭展示品限り30%OFF」「数量限定お買い得品 40%OFF」といったプライスカードが並んでいたが、こうした打ち出しにより、ブランドイメージを低下させている感が否めない。大塚家具が「中古家具店に成り下がった」と感じる消費者は少なくないのではないか。

 とはいえ、宣伝に力を入れていることもあり、大塚家具のリユース品の売上高は増加している。17年1〜6月期のリユース品売上高は2億円程度とみられ、前年同期と比べれば大幅に増加している。ただ、その規模は全体の1%程度にすぎない。今後の増加が見込めるだろうが、ブランドイメージが低下して既存の家具が売れなくなってしまったら元も子もないだろう。

「リユース」という言葉がブランドイメージを低下させていることを意識してか、大塚家具はリユース家具の新名称を公募している。名称はまだ決まってないようだが、イメージの良い名称に変えればマイナスイメージをある程度抑えることはできるだろう。

 業種や状況は異なるが、マクドナルドが新商品の名称を公募して話題となったことがある。500万件を超える応募があり、公募の中から選ばれた名称で販売し、売れ行きは上々だったという。業績が悪化していた同社の復活のひとつのきっかけになったことは間違いない。このように、名称の公募はタイミングと状況が良ければ売り上げとイメージの向上につながる施策となり得ることは確かだ。

 大塚家具がマクドナルドの事例を参考にしたかどうかはわからない。いずれにしても、名称の公募を業績回復のきっかけにしたいところなのだろう。ただ、マクドナルドのケースと違うのは、大塚家具の場合、「リユース」というマイナスイメージを隠したいという負の意図が感じられることだ。言葉でごまかそうとしている感が否めない。しかし、名称が変わっても本質はなんら変わらないので、その効果は限定的ではないか。誰かが一度使った家具を販売することには変わりはない。

ブランドイメージが失墜した大塚家具

 大塚家具の目下の業績は深刻な状況だ。同社の17年1〜6月期決算は売上高が前年同期比11.3%減の213億円、営業損益は27億円の赤字(前年同期は19億円の赤字)、純損益は45億円の赤字(同24億円の赤字)だ。大幅な減収で、赤字幅は大きく拡大している。

 大塚家具の業績が悪化しているのは、現社長の大塚久美子氏と、前会長で久美子氏の実父である大塚勝久氏との確執により生じた一連のお家騒動が主たる原因であることは間違いない。その後に乱発したセールにより、安売りのイメージがついたことも大きいだろう。さらにリユース事業を大々的に打ち出したことで、ブランドイメージがより一層低下していることも、業績悪化につながっていると筆者は考えている。

 大塚家具は業績が悪化した理由として、低価格路線にシフトしたと消費者に誤解されたことを挙げている。そして、その誤解を解きたいという。しかし、そのように考える一方で、低価格を訴求したリユース事業を大々的に打ち出しているのは矛盾するのではないだろうか。これでは、低価格路線にシフトしたままと消費者が認知しても致し方ないだろう。

 リユース事業は有望かもしれないが、堕ちたブランドイメージを回復させなければならない状況の大塚家具が大々的に行うべき事業ではないのではないか。既存の事業を立て直してから行うか、行うにしてもブランドイメージを低下させない程度の規模にするべきではないだろうか。または、大塚家具とは切り離して、別ブランド・別業態で行うべきなのかもしれない。業績悪化が止まらない現状がそのことを物語っているようでならない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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