
百貨店の地下食品街を歩くと、独特なにおいがします。いろいろな食品を扱っている店が集まっているので当然といえば当然ですが、筆者はあのにおいが苦手です。しかし、「あのにおいが食欲をそそる」という方もいるようで、「人それぞれなんだなあ」と思います。
筆者が、あのにおいを苦手とするわけは、内情を知りすぎているからなのかもしれません。特に嫌だなと思ってしまうのが、揚げ物のにおいです。この件は拙著『じつは怖い外食』(ワニブックス)、『行ってはいけない外食』(三笠書房)、『「安い食べ物」には何かがある』(同)にも記しています。ご批判も浴びましたが、事実は事実です。ご興味を持たれた方は、ぜひご一読ください。
百貨店だけではなく、駅の構内のコンコースなどでも、揚げ物を販売している店があり、特にファストフード店から流れてくる油のにおいが充満していることもあります。そのような場所では、鼻と口を塞ぎ速足で通り抜けるしか手段がありません。
日本人は、いつからこんなに揚げ物好きになったのでしょう。起点はおそらく1970年頃、日本にファストフードが入ってきてからだと思いますが、今やもうあきれるばかりの“揚げ物好き国民”になり果てています。スナック菓子をはじめ、菓子パンを含むさまざまなパン、ラーメン、中華料理、天ぷら、イタリア料理、フランス料理、果てはステーキハウスでも“油まみれ”の料理を提供しています。それにもかかわらず、まだ油を食べたいのだろうかと不思議に思ってしまいます。