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「なんでもメルカリ出品」、国際法で禁止の危険な物品販売も…社会的検証が必要な時機に

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 そのためには、新しい企業のチャレンジと、コンプライアンス=法令遵守の両立が必要だ。ベンチャー企業経営者の発言などを見ていると、ごく一部ではあるものの、企業ではなくユーザーに問題があるという認識があるように見える。

 新しい試みであるだけに、どのような展開になるかはやってみなければわからない。しかし、それが始まった段階で企業は社会的な責任を負うことを忘れてはならない。規模の大小、歴史の長短にかかわらず、企業は社会的な公器である。各企業には個人ユーザーの法令を無視した行動を防ぎ、公正なC to C市場の育成を支える責務がある。

 それぞれの企業がビジネスに対する倫理観・価値観を提示し、それにそぐわないユーザーには利用を認めない姿勢は不可欠だ。それでも、個人の行動を100%コントロールすることはできない。性善説に則った発想では限界がある。

 政府はこの状況に危機感を持つべきだ。世界経済フォーラムが公表するICTの国際競争力ランキングでは、法規制面の整備に関するわが国の評価が低い。企業のコンプライアンス意識の向上だけでなく、それを支える社会インフラとしての法制度の整備は喫緊の課題だ。それができないと、ベンチャー企業の育成は難しいかもしれない。

 そうした取り組みこそが、規制の緩和や環境変化に対応した法規制の策定につながり、成長戦略の重要な基礎づくりにつながる。新しい技術が普及し、これまでにはない経済活動が広がるなか、対策を企業だけに任せることはできない。社会全体で取り組むことが必要だ。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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