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鳥貴族、28年ぶり一斉値上げの「本当の理由」

文=編集部
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既存店売り上げ減少で株価の下げ幅拡大

 鳥貴族の値上げは、株式市場では当初、好感された。株価は年初から上値の重い展開が続いていたが、値上げ発表後に一時、上昇に転じた。値上げによる採算改善を期待して、発表があった28日の終値は前週末比8%高の2815円まで上昇した。「値上げ力」(値上げするだけの競争力)が評価された、とアナリストは分析した。

 値上げ発表前の8月24日、独立系投資信託運用会社のレオス・キャピタルワークスが鳥貴族株の保有比率を11.3%から12.3%にまで引き上げた。長期の業績成長が期待できると判断したことによる。

 ところが、9月7日に一転、下げ幅が拡大した。前日比5.9%安の2686円と8月28日以来の安値を付けた。8月の既存店売上高がマイナスとなり、失望売りが広がったためだ。

 8月の既存店売上高は前年同月0.5%減で減収は3カ月連続。客単価の低下(同2.0%減)を客数(同1.5%増)の伸びでカバーできなかった。新規出店効果で全店売上高は同17.6%増に拡大したが、成長しているかどうかの目安は既存店売り上げがプラスかどうかだ。

 8月末の店舗数は570と、ここ3年間で5割以上増えた。このため、2017年7月期の売上高は、前期比20%増の293億円になった。最終利益は、先行投資がかさみ同1%減の9億6700万円だった。最終減益は14年の上場以来初めてだ。

 既存店売り上げがマイナス成長となったために株価が下がったことを強く意識したのだろう。鳥貴族は9月13日、決算発表と同時に強気の業績見通しを明らかにした。

 それによると、18年7月期の売上高は17年同期比26%増の369億円、税引き後利益は38%増の13億3900万円を見込んでいる。値上げで客数は減るとみているが、客単価が上昇するので、通期の既存店売り上げは同4%増を予想している。

 強気の業績予想を株式市場は好感し、株価は14日、15日と連続して年初来高値をつけた。15日の高値は3245円(170円高)で、7日の終値と比較して2割上昇した。

 鳥貴族は「トリキ」の愛称と全国均一の安い価格設定で若者の人気を集めた。値上げで客離れの不安も出ている。値上げが客足にどう影響を与えるのか。10月以降の既存店売上高が会社側の予想通りになるのか。これが今後の株価を左右することになる。
(文=編集部)

11月10日追記

●10月の来店客数は7%減、売り上げは3.8%減

 11月7日、鳥貴族は10月の直営既存店の来客数が前年同月より7.0%減ったと発表した。売り上げは3.8%減った。値上げの影響に加え、週末に台風が2回来襲したことが響いたとしている。

 9月13日、決算発表と同時に18年7月期の業績予想を公表した際、「値上げにより客数は減るが、客単価が上昇するので、通期の既存店売り上げは4%増」としていた。値上げした最初の月(10月)の来客数・売り上げ減少は想定の範囲内なのだろうか。

 株式市場は悲観的に見ている。11月8日、鳥貴族の株価は一時、268円安の2877円と急落した。終値は2911円(234安)だった。

BusinessJournal編集部

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