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北朝鮮と米国、お互いに軍事攻撃できない可能性

構成=長井雄一朗/ライター
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中国、脱北者を拘束して北朝鮮に強制送還の実態

――北朝鮮の主張は「金正恩体制の維持」「経済制裁の中止」「核保有国としての承認」「お金とエネルギーの保証」です。仮に、これを丸呑みしたところで、日本をはじめとする関係諸国にメリットはありますか。

 何ひとつメリットはありません。金正恩は、今後も挑発行為を続けるでしょう。解決方法はただひとつ。金正恩体制をチェンジして北朝鮮を民主化するしかありません。

 まずは経済制裁を強化すること、そしてヨーロッパ諸国を動かすために「北朝鮮問題は人権問題である」とアピールすることが必要です。ヨーロッパは、ナチスの反省から人権問題を重要視します。現在、日本が主導で「北朝鮮問題は人権問題である」と主張していますが、その効果は大きいと考えます。それによって、ヨーロッパでも「北朝鮮は民主化すべき」という世論が形成されることになるでしょう。

――北朝鮮の国民は「民主化」という理念を理解しているのでしょうか。

 残念ですが、そこまで理解が進んでいないのが実情です。脱北者が韓国に入り、大統領が選挙で選ばれるのを見て「これが民主化か」と初めて理解することもあります。北朝鮮の国民も薄々は「何かおかしい」と感じていますが、金正恩体制を打倒するまでには至らない。だからこそ、外からの圧力が必要になるわけです。

 日韓は北朝鮮に対する「情報戦」を積極的に展開すべきです。しかし、残念なことに、中国は北朝鮮の国民に対する人権抑圧に荷担しています。たとえば、脱北者が中国に入ると拘束して北朝鮮へ送還するという事例が数多くあるのです。

――そこで、日本、アメリカ、中国、韓国はどのような行動を取ることが重要なのでしょうか。

 中国に対して、脱北者を送り返すのではなく「北朝鮮を中国にとってもいい国にしましょう」と提案することが大切です。今、日本では嫌中や嫌韓の世論もありますが、北朝鮮問題に関しては日中韓の3国が協調して北朝鮮に圧力をかけていくことが大切です。特に、中国がカギになります。

 一方で、アメリカにとって北朝鮮問題はそれほど重要ではありません。アメリカ本土が攻撃されていない以上、現時点では優先順位はそれほど高くありません。しかし、仮に北朝鮮が核ミサイルをアメリカに飛ばすようなことがあれば、アメリカはすぐに攻撃を仕掛けて金正恩体制は崩壊します。そういった事情を金正恩も理解しています。そのため、言葉はエスカレートするものの、両国が今すぐ軍事攻撃に踏み切る可能性はきわめて低いのです。

 同じことは中国にもいえます。中国も内政や南沙諸島の領有権の問題などを抱えているなかで、北朝鮮問題はそのうちのひとつにすぎません。この温度差を理解しないと、対応を誤ります。アメリカや中国にとって、北朝鮮問題は最優先事項ではないのです。アメリカが、攻撃の可能性をにおわせながらも決して攻撃しないのはそのためです。

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