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長引く夏風邪、別の病気を見逃す恐れも…やりがちな通院時のNG行為とは?

文=OFFICE-SANGA
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長引く夏風邪、別の病気を見逃す恐れも…やりがちな通院時のNG行為とは?の画像1「Thinkstock」より

 子どもたちの学校も始まり、夏休みムードはすっかり終わった。9月に入って、「本格的に通常運転だ」と気合いを入れ直した人も多いことだろう。しかし、油断していると、遅れてやってきた夏風邪でダウンすることになるかもしれない。

 暦の上では秋を迎えたとはいえ、日中の暑さはまだまだ厳しい日も多い。暑さや、クーラーによる体の冷えに加え、レジャー・里帰りの疲れも残っているこの時期。夏風邪には引き続き注意したほうがよさそうだ。

 風邪の原因となるウイルスは200種類以上あるといわれており、冬にかかる風邪と夏風邪では感染するウイルスは異なる。夏風邪の原因となるのは、高温多湿の環境下で活動的になるアデノウイルスやエンテロウイルスなど。代表的な疾患としては、梅雨から夏にかけて流行するヘルパンギーナ、プール熱、手足口病がよく知られている。

 夏風邪の流行は涼しくなるにつれて収まってくる。しかし、かなまち慈優クリニック院長の高山哲朗医師によると、真夏を過ぎても感染の可能性がゼロになるとは言い切れないという。

「一般的な内科診療では、どのウイルスによって引き起こされた風邪なのかというところまでは調べません。9月以降に風邪をひいた人がいても、夏風邪のウイルスによるものかどうかわからないまま治ることがほとんどです。

 たしかに、真夏を過ぎれば夏風邪の流行は収まっていきますが、その要因として考えられるのはウイルスの活動が弱まることだけではありません。秋になると過ごしやすくなり、体力が回復するといったヒト側の変化が影響している可能性も。このような理由から『真夏を過ぎれば絶対に大丈夫』とは言い切れないのです」(高山医師)

 冬場に流行するインフルエンザは3月中旬ごろまで流行が続き、4月に入ってから感染するケースもある。しかし、「春先までインフルエンザの流行が続くとは、昔は想定もしていなかった」と高山医師。「秋になっても異様な暑さが続くようなことがあれば、夏風邪のウイルスも同様に想定外のことが起こり得る」とのことだ。

夏風邪にかかったときの対処法

 では、もし夏風邪にかかってしまったら、どのように対処すべきなのか。夏風邪の特徴や対処法についても聞いた。

「夏風邪ではのどの痛みと、下痢・腹痛といった胃腸症状が多いようです。特にエンテロウイルスに感染した場合は腸にくることが多く、下痢による脱水には十分な注意が必要です。

 夏風邪にかかったら、まずはしっかりと水分補給をすること。糖分なども同時に摂取できるスポーツドリンクが効果的です。冷たい飲み物は体を冷やすため、できれば常温がいいです。水を飲むだけでも嘔吐するような場合は医療機関を受診し、点滴などの処置を受けましょう」(同)

 夏風邪は胃腸にくることが多いため、食欲がなければ無理に食べる必要はない。

「無理に食べると胃腸に負担がかかります。まずは水分補給に努め、食欲が出てきたら、胃腸にやさしいものから食べるようにしましょう。胃腸にやさしいのは、おかゆ、うどん、柔らかく煮た白身魚などの『白くて柔らかいもの』です。からいものは体力を低下させ、腸にも負担がかかるので避けましょう」(同)

 また、十分な睡眠をとることも大切だ。夏風邪には「こじらせやすい、長引く」というイメージがあるが、その原因のひとつとなっているのが暑さによる睡眠不足だという。

 9月に入っても、時間帯・天候によってはかなり暑い。睡眠をとる際はエアコンでの室温調節が必要だろう。高山医師によると、適温は27~28度。体を冷やさないように、タオルケットなどをかけて休むとよいそうだ。

 そして、さらにもうひとつ。医療機関を受診する際に、気をつけるべきポイントを教えてもらった。

「風邪の症状を訴えて来院された患者さんには、まずその症状に応じた薬を処方します。そして、もしその方がもう一度来院されて『症状が治まらない・別の症状が出た』という場合には、次は風邪以外の疾患を考えます。

 しかし、2回目の受診でまた別のクリニックへ行かれた場合、そこでまた『風邪』と診断される可能性もあります。複数のクリニックを1回ずつ受診すると、これを繰り返すことになりかねません。風邪といわれたけれど、どうも症状が治まらない、別の症状が出たという場合は、もう一度同じクリニックへ行かれることをおすすめします」(同)

「夏風邪だと思っていたら、違う病気だった」という可能性もある。それを見逃さないために、2回目以降もできる限り初回と同じクリニック受診するようにしたい。

 初秋は、昼夜の寒暖差が激しい。そこへ、エアコンの効きすぎや冷たい食べ物・飲み物、夏の疲れ、仕事のストレスが加われば、夏バテ並みに体力が低下してもおかしくないだろう。9月に入っても、夏風邪にかかる可能性はゼロではない。「夏風邪に勝った」と兜の緒を緩めるのは、まだ早い。
(文=OFFICE-SANGA)

取材協力:かなまち慈優クリニック
https://www.jiyu-clinic.jp/

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