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3横綱休場にとどまらぬ大相撲九月場所の異変の数々、歴史の転換点を目撃しているのか

文=西尾 克洋/相撲ライター
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1709_sumo550.jpg「日本相撲協会」公式サイトより

 3横綱の休場という、前代未聞の「異変」で幕を開けた大相撲九月場所。ここまで大相撲を支え続けてきた白鵬や稀勢の里の不在の影響はとくに甚大で、7月に開催された先場所・名古屋場所の初日の視聴率は14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、5月場所は15.3%だったのに対して、九月場所は11.9%に留まっている。3横綱の休場決定後、懸賞金は200本あまりも取り下げられたとの報道もあった。 

 現場レベルとして、当日自由席の状況にも触れておきたい。当日自由席のチケットは国技館の券売所で相撲開催の当日に並べば購入できるのだが、枚数に限りがあるので人気に応じて購入可能な時間帯は変化する。ここ最近では人気が高まったせいか、平日だと朝6時30分に並んでようやく入手できるギリギリのラインだったのだが、9月場所の2日目は7時40分でもまだチケットが購入可能だったと伝え聞いている。

 世間の注目度も広告としての価値も下がったが、本命不在の九月場所は残された力士にとってはまたと無いチャンスだ。1横綱3大関の場所など、もう2度と無いかもしれない。全ての力士に優勝の可能性がある戦国場所であることから、普段とは色合いの異なる熱戦が期待された。

 だが、蓋を開けてみるとさらなる惨状が待っていた。

 2日目には大関の高安が一方的な相撲で敗れ、右太ももを負傷し休場。同じ日にはアクロバティックな相撲で人気急上昇中の宇良が車椅子で運ばれ、休場。そして5日目には同じく大関の照ノ富士の膝が限界に達し、休場(大関からの陥落が決定)。幕内では8力士が6日目までに休場している。なお、3横綱2大関の休場というのは99年ぶりの出来事であり、どれだけの「異変」かがお分かりいただけるだろう。

 これだけ休場者が増加している理由についてはさまざまな意見が出ている。たとえば大相撲人気の高まりと共に巡業数が急増して力士の負担が増したことや、力士の平均体重の増加によって怪我の危険性が高まっていること、公傷制度が無いことから力士が怪我を治すために十分に時間が取れないこと、さらに稽古の方法が多様化することに伴い四股を踏む機会が相対的に減少し、強靭な足腰が作れなくなってきていることなど、各記事によってその切り口は多種多様だ。

 そこで私としては、怪我が増えている理由のひとつとして、ここ数年どの取組も非常に激しくなってきていることを理由の一つとして挙げてみたい。

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