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あの名門私立女子高が混乱状態…教員一斉退職、保護者が国に全理事解任要求

文=島野清志/評論家
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Q.16年度は寄付金が著しく増加しているが、今後もこの水準の額が維持されるのか、それとも当期だけの一過性のものなのか、見通しを聞きたい。

A.昨年5億円の寄付を頂きました。今期も3億円の寄付のお願いを致しているところです。

Q.この寄付金は日本私立学校振興・共済事業団の制度、受配者指定寄付金を利用したものなのか、そうではないのか、お教え願いたい。

A.利用致しました。
 
 16年度に巨額の寄付金はあったが、本年度は保証の限りではない、ということであろう。また受配者指定寄付金は、法人の場合、寄付金の全額損金算入ができるために税金対策としても活用できるものだ。当然、寄付する側の懐具合に左右されるもので、景気回復局面では増加するが、不況時には減少しやすい。要するに16年度決算の収入の急増は、特殊な要因に依るものが多く、今後、この状態を継続できるかは微妙なことがわかる。

 しかし、決算概要は以下のように締め括られている。

「日本私立学校振興・共済事業団が定める、『経営判断指標に基づく経営状況の区分』では『D3』(レッドゾーンの最低レベル)から7ランクアップの『B3』(イエローゾーン)となる」

 単年度ベースで試算すれば格付けは上がるにしても、その点だけを取り上げて、運営の危機が去ったかのようにアピールするのは、いかがなものであろうか。16年度の大幅増収、収支改善の大きな要因になった巨額の寄付金も今期は維持しづらいことを、先の回答で法人自身も認めているのだから、あくまで恵まれ過ぎた状態であったことを、併せて述べるのが誠実な総括だろう。

 回答の文書のなかには、運営する大阪観光大学について、16年度の赤木攻学長の就任以来、さまざまな学内改革が実を結び、17年度には定員充足率が130%まで上昇、創設した別科(日本語学校)の学生募集も順調との説明があり、「ご心配頂きましたが、今後も定員は必ず充足し、帰属収入で安定します」などとも記されていた。

 ただ、筆者は20年あまり大学業界を取材してきたが、収容定員を大幅に割り込むことが常態化していた私立大学が一気に蘇生して、中堅クラス以上の評価を受ける大学になった事例は、公立大学に転換したものを除けば、ひとつとして知らない。
(文=島野清志/評論家)

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