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武田邦彦「科学者の直言」

地震で死なないためのマニュアル:地震予知はできない…武田邦彦教授が解説

文=武田邦彦/中部大学教授
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地震で死なないためのマニュアル:地震予知はできない…武田邦彦教授が解説の画像1「Thinkstock」より

 地震がいつ、どこに起こるのかを知ることはとても大事で、最近では、今後30年以内に地震が発生する確率が何%かが示されます。でも、こんな数字は私たちにはなんの関係もありません。30年間に地震が来る確率が70%でも、30%でも、「では、今日はどうするのか?」「転居すべきかどうか?」などの判断の材料にならないからです。

 何しろ30年間ですから、地震の確率が高くてもずっと家の中にいることはできませんし、これまでの経験からも「予測外れ」の可能性が高いからです。そこで「ほかのことはどうでもよいので、まず自分と自分の家族を地震から守る」にはどうしたらよいかを、具体的に整理してみます。

地震や噴火の予知はできない

 まず第一に認識すべきは、「地震や噴火の予知はできない」ということです。有名な「東海地震が来る」という予測は、東京大学のある助手(若い研究者)が言ったことで、それにマスコミが乗り、教授は地震が予知できないことは知っていたのですが、研究費が増えると考えて黙っていました。ちょうど、その時期は政府は税金が余り気味で土建工事にお金を使って景気を良くしようと思っていましたので、渡りに船とばかりにこの話に飛びつき、なんの根拠もないのに「東海地震対策費」として巨額のお金が東大と建設会社に渡ったのです。

「明日にでも東海地方に大地震が起こってもおかしくない」と言われてから、すでに40年が経ちました。その間、阪神・淡路大震災、2回の新潟地震、東日本大震災、そして熊本地震と大きな地震が続きましたが、東海地方にはまだ起こっていません。日本列島では、いつでもどこにでも地震が起こってもおかしくないのですが、もともと「予測できない」ことを知っていて「予測できる」というのですから、一種の詐欺のようなものです。

 以上の地震予知のウソを知った上で、次に、自分が住んでいるところ、学校や職場の「最大震度、津波の高さ」を調べることが必要です。自治体が詳しい防災地図を出しており、役場に行っても良いし、インターネットで調べることもできます。自分に関係する場所が「震度いくつ、津波何メートル」かを知ります。これがまず大切です。

 地震というのは「いつ起こるか」はわからないのですが、どのぐらいの大きさのものかはわかるのです。たとえば、道路横の崖の上に大きな石があるようなもので、その石がいつ落ちるかはわかりませんが、その石が自分の車の上に落ちてきたら潰されるかどうかはわかるのと同じです。

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