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ヒアリ対策のアリ駆除剤は、逆効果?殺虫剤、使用時に吸引の危険も…呼吸障害やぜんそくの可能性

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日本には定着できない可能性も

 しかし、ヒアリがこのまま日本に定着するかは不明です。なぜなら、冬を越せるかどうかがわかっていないからです。

 1988年に発行された『世界大百科事典』(平凡社)によると、「(ヒアリが)日本でも沖縄に侵入して一時的に繁殖した例があるが、冬季の低温に耐えられず永続的な土着は不可能と考えられる」とあります。そのため、九州や本州でヒアリが越冬して定着する可能性は低いと考えられるのです。

 もし越冬して定着したとしたら、それは地球温暖化によって九州や本州の気温がかなり高くなっていることが要因でしょう。

 ところで、ヒアリが各地で発見され、その危険性が報じられるにつれて、アリ駆除剤を買い求めている人が増えているようです。アリ駆除剤は、もともとはクロアリや羽アリなど日本に棲息するアリを対象としたものですが、ヒアリにも効果があるとされています。

 市販のアリ駆除剤は、直接アリに殺虫成分を噴射したり、ノズルを使ってアリの巣の中に噴射するタイプ、あるいは殺虫成分を含むエサをアリ自身に巣穴へ運ばせ、ほかのアリがそれを食べることによって全滅させるものなどがあります。

 噴射するタイプは、ピレスメイド系殺虫剤が成分です。しかし、直接噴射した場合、有効成分が拡散するので、どうしても人間が多少吸い込んでしまうという問題があります。

 人間がピレスロイド系殺虫剤を吸い込むと、副作用として悪心(気分が悪くなること)、嘔吐、頭痛、耳鳴り、強い眠気などを起こすことがあり、重症の場合、呼吸障害やふるえ、ぜんそくなどを起こすこともあります。そのため、化学物質に敏感な方は要注意です。

 また、殺虫成分を含むエサをアリに運ばせるタイプは、薬剤を人間が吸い込む心配はありませんが、従来から棲息するクロアリなどを駆除してしまい、ヒアリにとっての敵対勢力が減ってしまう恐れがあります。結果として、ヒアリの繁殖が容易になってしまう可能性があるのです。これは、噴射するタイプにも当てはまることです。

 ヒアリを自分で退治する必要はありません。ヒアリを発見したら、まずは自治体などに連絡するべきです。冒頭で紹介したポスターにも、「自分で駆除せずに、お近くの地方環境事務所か都道府県の環境部局へ通報を」と書かれています。アリ駆除剤を使うと、かえってヒアリの拡散を招くことになりかねません。くれぐれもご注意ください。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

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