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「民進党を売った」前原代表の勘違い感…小池人気に「抱きつき合流」、居眠りする議員も

文=長井雄一朗/ライター
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 ただ、前原代表はあくまで強気で「公認希望者がお願いする筋のものではなく、対等である」という考え方を崩さなかった。しかし、希望の党側は「対等」であると思っているのだろうか。これは、総会に参加した記者の間でも浮上した疑問だ。これに対して、民進党側からは「今後の交渉に委ねられる案件」「全力を尽くす」という説明にとどまった。

 なかには「希望の党から出馬したくない」という議員もいると思われるが、その処遇については未定だ。また、「首班指名については、選挙が終わった後に考える」とのことである。

政策や理念の一致なき“抱きつき合流”

 希望の党の具体的な政策が発表されるのは、来週だ。つまり、民進党は政策や理念をすり合わせる前に満場一致で希望の党との合流を決定したということになる。「この10日間で政策議論はした」とのことだが、果たしてどのレベルで議論が行われたのかは不明だ。

 いずれにせよ、「今の民進党の不人気ぶりでは選挙は戦えない」という思いは保守派もリベラル派も同じだろう。そのため、「小池人気にあやかって、とにかく当選したい」という思いが透けて見える。なにしろ、民進党の支持率は停滞しており、我が身を守るためにはリベラル派も改革保守の軍門に降らざるを得ない事情がある。

 一部マスコミからは「民進党の“抱きつき合流”」との声も上がっているが、あながち的外れでもなさそうだ。また、合流については民進党の最大の支持母体である日本労働組合総連合会がサポートする姿勢を見せたことも大きい。

 今後、民進党はどのようになるのだろうか。参議院議員、地方議員、地方組織は選挙後も残る予定だ。ちなみに、次の参議院議員選挙は1年10カ月後。「(選挙後に)どう(希望の党と)一緒になるか、相談して決めていく」とのことだ。

 ただ、いくら不人気とはいえ、民進党の98億円といわれる資金、地方組織、運動員や後援者の存在は魅力的だ。資金については毎日新聞が運用方策を聞いたが、前原代表は苦笑いしつつ「もう少しありますが、現時点では未定」と答えた。

 今後、希望の党は民進党に対して、資金の提示を求める可能性もある。民進党議員の「大安売り」発言には、こうした背景もあるわけだ。小池代表の国政登板についての質問も飛んだが、前原代表は「ご本人が決めること」と否定も肯定もしなかった。

 政策や理念の一致なき合流。リベラルの旗を降ろし、改革保守の軍門に降った民進党議員。1人くらいは「私は反対だ」という気骨のあるリベラル系議員がいてもおかしくないと思ったが、誰もいなかったことに言いようのないさびしさを感じた。
(文=長井雄一朗/ライター)

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