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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

つい油断して税金をちょろまかすと、必ず税務調査が入る理由

文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人
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 一通り概況を聞き終え、仕入れの方法や販売方法、在庫の棚卸し状況を聞き取りました。販売は、おおむねアマゾンを利用しているらしく、セラーセントラルの画面を確認する必要がありました。セラーセントラルとは、アマゾンで商品を販売する業者向けの出品管理ツールです。出品する商品の登録や管理、売上高、アクセスデータを分析できます。

 次に預金通帳を確認しました。セラーセントラルの売り上げと入金の差異を、ひとつずつ確認し、売り上げの計上漏れを探します。アマゾンをメインに売り上げを積んでいるため、その他の収入を計上していない可能性は十分にあります。案の定、「ヤフオク!」などに出品した商品の売り上げは、収支内訳書に転記されていませんでした。

 売り上げと異なり、仕入れはインターネットを利用したものから、大手チェーンの古書店、神保町の古書店、雑貨店など、多岐に渡りました。在庫の管理はエクセルで行っていたので、セラーセントラルのデータと合わせて、USBメモリに保存して持ち帰りました。税務署に戻ってからデータを確認するのですが、今から10年前にはUSBメモリを使うような調査手法はまれでした。

 今回の調査では、売り上げの一部を除外していたため、本税のほかに重加算税と延滞税で300万円ほどの追加納税となりました。ほとんどの納税者が、事業開始直後は「申告はちゃんとやろう」「ちゃんと納税しよう」「きちんと記帳もしよう」と考えます。しかし、数年も経つと、「どうせ税務調査なんて来ないんだから、経費を増やしたり、売り上げを抜いたりしてもいいだろう」という、恣意的で甘い考えを持ち始めます。そのような甘えは、必ず帳簿や確定申告書に反映されます。その些細な変化を調査官たちは見逃さず、調査にやってくるのです。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。

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