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高橋篤史「経済禁忌録」

有力寺院、地検特捜部が捜査…巨額の寺院マネーめぐる「疑惑と人脈」、全容解明か

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 例えば、今年8月に東京地裁で和解が成立したケースはこんな具合だ。11年2月、ある投資家が4号組合に500万円を出資した。組合は前年6月から北海道の倉庫を裏付け資産として運用されてきたもので、年6%の想定利回りを謳っていた。ところが、分配金こそ支払われていたものの、償還期限を月末に控えていた13年5月、都市綜研インベストファンドから投資家のもとに償還期限を1年延長する旨の連絡が突然届いた。「怪文書による一連の事件の影響」がその理由とされた。

 さらに翌6月、都市綜研インベストファンドはある提案を投資家にしてきた。それは4号組合だけでなく5~11号組合の出資者に対しても提案されており、系列の都市綜研インベストバンク(東京都千代田区)が投資家の保有持ち分を額面で買い取るという内容だった。

 しかし、買い取るのは元本総額の15%に満たない15億円だけで、しかも実際に代金が支払われるのは1年以内のいずれかの日とされた。一方で買い取り希望の受付期間は1カ月間だけ。いってみれば、元本回収に焦りを募らせる投資家に対し、早い者勝ちを煽るような提案だった。

 この裁判のケースでは、投資家が買い取りに応じ、都市綜研インベストバンクからは譲受証が発行された。しかし結局、支払い期限までに買い取り代金は入金されなかった。かわりに月1度のペースで届き始めたのは、支払期日を延期する旨の手紙である。9・11テロで従業員の大半が犠牲となったことで知られる米国の証券会社と融資交渉を進めているが、トランプ政権への交代で手続きが遅れているなどとする真偽不明の言い訳が、毎回のようにそこには書かれていた。

 投資家はついにしびれを切らして今年5月に本人訴訟を提起。事実関係を認める都市綜研インベストバンク側は行政処分などから解約が殺到して資金繰りに窮しているとし、元本棒引きの和解を希望した。その交渉経過はまるでバナナの叩き売り。都市綜研インベストバンク側が最初提示したのは元本の7割に当たる350万円を12回分割で支払うというもの。これに対し投資家は400万円なら応じるとし、何度かの条件交渉の末、最終的には400万円を来年3月末までの8回分割で支払うという条件で和解が成立した。この先、全額が支払われたとしても、元本の一部は永遠に返ってこないわけである。

注目される、捜査の行方


 じつは都市綜研インベストファンドの創業者である柳瀬公孝(本名・健一)社長もLCAとは縁が深い。柳瀬氏は関連会社を通じ07年5月にLCAの増資を引き受け、同年8月に取締役となり、さらに同年11月には代表取締役となっているのだ。柳瀬氏はのちに水増しが発覚した不動産現物出資による大型増資の話が進んでいた09年4月頃まで、LCAの経営にタッチしていたとされる(登記上は09年8月に退任)。

 興正寺から多額の資金が流れた日本開発研究所の後任代表となった件の70代男性と、柳瀬氏とは、LCAで接点を持ったものと思われる。昨年6月、都市綜研インベストファンドは日本開発研究所が名古屋市内に持っていたビルを取得、「みんなで大家さん」の30号組合として総額28億円の出資を募っており、両者の関係性は幾重にも重なっている。

 興正寺から資金が流出した先とLCA人脈との接点はまだある。上場廃止から1カ月後、LCAの社長となった60代の男性がいる。じつはこの男性が13年に都内で設立し、興正寺から約5億円が支払われた先こそが前述のregenerationなのである。現在、LCAは日本開発研究所が本店を登記する東京・南青山のビルの同じフロアに入っており、ここでも関係性は重層的だ。

 水面下で元本償還の遅延を繰り返しつつも、どういうわけか「みんなで大家さん」はこのところ新規物件を次々に取得し、出資金集めの手を広げている。今年1月からは安土桃山城が原寸大で再現されていることで知られる大型観光施設「伊勢・安土桃山文化村」(旧伊勢戦国時代村)を対象不動産に新規の組合を2本組成、計50億円の出資金集めを始めている。九州の地熱発電所用地やリニア新幹線工事などの残土受け入れを標榜する西伊豆の採石場、はたまた種子島の空港プロジェクト関連用地といったものまである(いずれも計画の真偽や進捗度などは不明)。

 みんなで大家さん販売に取材を申し入れようとしたが、電話は一方的に切られた。LCAにも電話したが、取り次ぎを依頼した代表取締役からの折り返しの連絡は得られていない。興正寺問題の捜査の行方は「みんなで大家さん」の不可思議経営に大きな影響を及ぼす可能性もありそうだ。
(文=高橋篤史/ジャーナリスト)

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