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平野雅章「FP相談1600件でわかった全体最適マネー術」

想像以上に長い老後、想像以上に恐い老後資金不足…女性の半分は90歳まで生きる

文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
想像以上に長い老後、想像以上に恐い老後資金不足…女性の半分は90歳まで生きるの画像1「Thinkstock」より

 私はファイナンシャルプランナーとして累計2,000件超の相談を受けているが、老後資金について相談を受けるときは相談者に必ず次の質問をしている。

「日本の女性は何割の人が90歳まで生きると思いますか?」

 この質問に対し、相談者の最も多い回答は「3割ぐらい」なのだが、正解は「ほぼ5割」である。相談者と話していると、90歳は「相当長生きした人」で「そこまで生きる人は一部」という認識の人が多い印象を受ける。この認識と実態との差は、必要な老後資金額の差にもつながってしまう。

90・95歳まで生きる確率はかなり高くなっている

 7月に厚生労働省が発表した「平成28年簡易生命表」の概況によると、90歳まで生存する人の割合は男性25.6%、女性49.9%である。同じく、95歳まで生存する人の割合は男性9.1%、女性25.2%となっている。男性は90歳まで、女性は95歳まで4分の1の人が生存するのである。また、男女とも平均寿命は前年を上回り過去最高を更新している。悪性新生物、心疾患、血管疾患及び肺炎などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いているという。

 こうした状況を考えると、最低でも男性は90歳まで、女性は95歳まで生存することを前提に、必要な老後資金額を考えるべきだ。さらに、前述のような病気での死亡率は当面下がり続けると考えるのが妥当で、より安心を得るには男性95歳、女性100歳までの生存を前提として老後資金を準備する必要があるだろう。

生存年齢が延びれば必要な老後資金も増える

 退職後の家計の収支を考えてみよう。まず収入だが、厚生労働省が発表している夫婦2人分の標準的な年金額は約22.1万円である【註1】。この金額は妻がずっと専業主婦または厚生年金の加入対象外のパートタイマー等だったという前提であり、夫が先に死亡した後の妻1人の受給額は、遺族厚生年金を考慮すると約13.3万円ということになる。次に支出だが、高齢無職夫婦世帯の支出の月平均額(税・社会保険料を含む)は約26.7万円、高齢単身無職世帯では15.6万円である【註2】。

 同い年の夫婦を想定し、生存している年齢ごとに65歳以降の家計収支を計算すると以下のようになる。

(1) 夫85歳・妻90歳まで生存の場合
収入:約6,102万円 支出:約7,344万円 不足額:約1,242万円

(2) 夫90歳・妻95歳まで生存の場合
収入:約7,428万円 支出:約8,946万円 不足額:約1,518万円

(3) 夫95歳・妻100歳まで生存の場合
収入:約8,754万円 支出:約10,548万円 不足額:約1,794万円

平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

お金の不安を相談で解消する相談専門ファイナンシャルプランナーとして、保険・住宅ローン・ライフプランを中心に相談4000件超の実績。家計分析ツール「生活費ポートフォリオ©分析」考案、短大の非常勤講師、執筆など活動は多岐に渡る。全国FP相談協会 代表理事も務める。
横浜FP事務所

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