企業・業界の最新ニュース記事 まとめ
「地震の見張り番」がシェア1位になったワケ
――社長としての心構えなどについて、教えてください。
小善 「地震の見張り番」をシェアトップにするために、全国の地方公共団体を回って営業に走りました。「すべての原点は現場にある」というのが信条です。社長室にこもっているだけでは、会社の内実はわかりません。「率先垂範」こそが、社長のあるべき姿だと考えます。
――ちなみに、社長の血縁者は入社されていますか。
小善 私は、会社に血縁者や地縁者を入れるべきではないと考えています。もし私が血縁者を入社させれば、社員は「将来の社長は血縁者だ」と忖度するでしょう。血縁者に経営者としての能力があればいいのでしょうが、能力がない場合は、本人にとっても会社や従業員にとっても、これ以上の不幸はありません。
社員たちが「いくらがんばっても、どうせ社長になれない」と考えてしまえば、やる気を失い、ひいては会社の損失につながります。また、私の友人のなかには「友人なんだから、取引にかませろよ」と言う人もいますが、「そんな公私混同、できるわけがないだろう」と一切断っています。
――非礼を承知で申し上げますが、上場を目指すほどの規模になると、最初の志は立派でも次第に公私混同が激しくなり、社長が個人と会社の財布の区別がつかなくなる……そんな事例を多く見てきました。
小善 飛行機に乗る際、会社の規定はビジネスクラスですが、私はいつもエコノミークラスです。また、笑い話ですが、和歌山に出張する際に「一番安いホテルを取ってくれ」と指示したのですが、安いホテルは騒音がうるさいということで500円上乗せした部屋を予約しました。私は、お金に関しても公私混同することはありません。
――素晴らしいことだと思います。今、人材が大手企業に流れて中小企業は人手不足で困っていますが、解決方法はありますか。
小善 新卒採用については、当社の規模では応募がなく、継続的に募集をかけているのが現状です。第二新卒が主なターゲットです。
――日本全体の社会課題でもある「働き方改革」については、いかがですか。
小善 当社の理念は「1に健康 2に家族 3、4がなくて 5に仕事」です。そのため、他社と比べて休みは取りやすいと思います。昔は私も「24時間働けますか」を実践し、場合によっては会社に寝泊まりしていましたが、この年になるとそれは厳しいですよ。社長が遅くまで残っていると社員は帰れないので、ほぼいつも定時の17時半に帰っています。
ただ、残業代が減ると手取りも減るので、前期は記念賞与を出しましたが、今期は決算賞与を検討しています。税金を払うことは大事である一方、内部留保を蓄積するよりは社員に還元して働きやすい環境を整備したいと考えています。ノー残業と実質賃金の増加によって「働き方改革」を推進します。
(構成=長井雄一朗/ライター)