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潰れる大学・生き残る大学…潰したくても潰せない私大に税金投入で公立化も

文=長井雄一朗/ライター
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「どうしても地域に残ってもらいたい大学は公立化するというのが、今のトレンドです。公私協力方式大学であっても、学費がとりわけ安いわけではありません。志願者が減少し、赤字経営を続ければ、当然撤退する動きも出てきますが、それでは地方自治体は困る。そこで、切り札として公立化という選択肢があるわけです。

 しかし、それも万能ではありません。当然、公立化によって税金で運営されることになります。住民から反対意見が出ることもあり、十分な審議が必要です。

 東京に住む方は『私大は市場原理に任せて、倒産すべき大学は倒産させ、残れるところは残せばいい』という発想かもしれませんが、地方の私大は公立化してでも残さないと、地域そのものが衰退して疲弊してしまいます」(同)

募集停止が相次ぐ、都内の有名女子短大

 また、木村氏はこうも指摘する。

「大学が公立化すると、ほかの地方からの入学希望者が増え、もっと言えば外国からの留学生も多く入学することにつながります。異文化交流は、地域にとって非常に大事なことです。大学も地元の中だけで固まることは望ましくありません。

 地元の方からは『公立化したことで入学しにくくなった』『公立大学なのだから地元の学生を優遇せよ』との声もありますが、多様な学生が生み出すシナジー効果による発展も期待できます。地元のセクショナリズムには問題があると思います」(同)

 地方の衰退を食い止めるための苦肉の策として生まれた、私大の公立化。一方で、都内の私大は淘汰が進み始めている。すでに法科大学院は多くが廃校や募集停止になっているほか、東京女学館大学、青山学院女子短期大学、立教女学院短期大学なども募集停止が相次いでいる。

「東京女学館大は中学・高校の経営はしっかりしており、青山学院大も立教大も経営状況はいいのですが、将来的に受験生が減少する可能性の高い短期大学部門を削る方向でまとまったのでしょう。『とりあえず、本体部門の大学や中学・高校の経営に専念する』という経営判断だと思います。

 しかし、東京の私大経営者の中には『今を辛抱して乗り切れば、大学が次々と淘汰され、自分の大学だけは生き残れる』と思っている人も少なくありません。こうした考え方は中小企業の凡庸な経営者とまったく変わらず、嘆かわしいことです」(同)

 全般的に厳しい経営が続く大学だが、新設される動きもあるという。

「政治的な意図もあったのでしょうが、専門・専修学校の大学化ということで、専門職大学という新制度が創設されました。現在、少なくない数の専門・専修学校が大学化を検討しているようです。しかし、専門学校は東京都心に多く、文科省が目指す大学の東京23区集中抑制とは矛盾していると思います」(同)

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