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潰れる大学・生き残る大学…潰したくても潰せない私大に税金投入で公立化も

文=長井雄一朗/ライター
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消える大学、生き残る大学

 大学授業料減免を公約に掲げている政党もあり、将来的には大学無償化の動きもあるが、果たして現実的なのか。

「医学部の場合は、6年かけて卒業するまでに数千万円単位の学費を含めて諸費用がかかります。授業料だけでも国が面倒を見るというのは現実的なことなのか、よく考えてほしいと思います」(同)

 では、今後はどのような大学が生き残るのだろうか。木村氏は、「理工系であれば、科学研究費に注目してほしい」と指摘する。

『大学大倒産時代』では科研費のランキングを公表しているが、関西では「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)の伸び率が高い。そして、科研費の高い大学は「今後も安定経営が望める大学」と同義ととらえていいようだ。技術開発に力が入り、外部資金の導入にも有利に働くからだ。

 同書には、国からの「特別補助」のランキングも公表されている。助成金の一種である私立大学等経常費補助金には「一般補助」と「特別補助」があり、後者は大学への競争的資金といえる。そのため、「特別補助」をより多く獲得している大学には未来がありそうだ。

 一方、倒産が現実的な大学についても知りたいところだ。『大学大倒産時代』では、「収容定員充足率の低い大学の例(70%未満)」を初公表しているが、この中に載っている大学が当てはまるのかもしれない。

「大学の経営に大きな影響を及ぼす定員充足率は、収容定員で見るのが正しいです。なかには、定員割れを避けるために分母(入学定員)を前年より少なくしてしまう大学もあります。ただし、本書の中で公表された大学でも競争的資金を比較的多く獲得している大学もあるため、一概にはいえません。科研費や特別補助のデータと見比べることによって、消える大学と生き残る大学がわかるのではないでしょうか」(同)

 また、木村氏は「財務や修学にかかわる情報公開に積極的でない大学の将来は厳しい。学校経営や学生の教育指導に自信がないからです」と指摘する。特に大学受験生を抱える親御さんにとっては、必読の書といえそうだ。
(文=長井雄一朗/ライター)

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『大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学』 2018年、受験人口の減少と地方の衰退により、大学は激変期に突入! 東大・京大など旧帝大系で格差が拡大し、早慶・MARCH・関関同立など都会の有力校でも地方の国公・私立大でも生き残り競争がさらに熾烈に! 新視点の指標で、大学の運命を実名で明らかにする。 amazon_associate_logo.jpg

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