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東電、原発事故で事業停止した企業へ賠償金支払い拒否…「所在地は対象外」と虚偽の説明

文=明石昇二郎/ルポライター
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事故直後は「放射線管理区域」レベルだった、郡山駅周辺の放射能汚染

 福島県郡山市内で高級クラブとカフェを経営していたA社は、福島第一原発事故により、営業停止を余儀なくされた。東日本大震災に伴う地震により、店舗の備品が壊れるなどの被害を受けたものの、すぐに営業を再開する予定だったが、地震に続いて発生した原発事故により撒き散らされた膨大な量の放射能を恐れた従業員たちが郡山から避難してしまい、営業を再開できなくなってしまったのだ。

 JR郡山駅前のビル内にあったA社の高級クラブは、60名以上のホステス(同クラブでは「キャスト」と呼称。以下、女性従業員と記す)を揃えた大箱の繁盛店で、郡山を出張で訪れた男性客や接待などに利用されてきた。だが、原発事故後、女性従業員の半数が避難で郡山を離れ、原発事故発生から3カ月が過ぎた時点で仕事に復帰できそうな女性従業員は10人ほどしか残っていなかった。そこでA社はこれまでの店舗での事業再開を断念。店の規模も縮小せざるを得ず、家賃が半額ほどの店舗物件に移転して、11年6月、クラブを再オープンすることにした。
 
 しかし、売上は以前の半分にまで激減。ビジネスや観光で郡山市を訪れる人が極端に減ってしまったことに加え、入れ替わるようにして郡山駅周辺の繁華街を訪れるようになった「復興作業員」たちは、高級クラブの客層とは明らかに異なる人たちだった。そして15年1月、A社は事業を停止し、クラブも閉店した。

 ところで筆者は11年5月、取材で郡山市を訪れている。その時の模様は拙著『刑事告発 東京電力』(金曜日)で報告した。当時の郡山市の汚染状況がよくわかるので、以下、抜粋して引用し、補足説明を加えながら紹介する。
         
 福島県内では、天気予報ならぬ「放射能観測情報」がラジオで聞けるのだという。日によって、空間放射線量が上がったり下がったりするそうだ。

(11年5月5日)午後7時前、JR郡山駅前のビジネスホテルに着き、クルマを降りると、駐車場の線量は毎時0.8マイクロシーベルト。文部科学省謹製の汚染マップでも同じ値が記されていた。文科省の発表も結構当てになるようだと感心するのと同時に、持参したロシア製の簡易測定器RADEX「RD1703」の性能確認をする恰好の機会ともなる。

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