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肥満は社会にとっても損失?減量すると社会的コストが3分の1に

文=森真希
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健康でも「肥満」だと「社会的コスト」を増大させる

 現代社会では、太っているかどうかは「個人レベルの問題」ではない。「肥満が社会的コスト」も引き上げてしまう――。

 肥満大国・アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の研究によると、血圧や血糖値などに問題のない、つまり「健康だが肥満」の成人だとしても、「数万ドルにのぼる医療費や生産性の損失」といった社会的コストがかかるとわかった。

 研究グループは、肥満の成人が生涯でかかる慢性疾患や健康状態を追跡し、関連する費用を算出。適正体重の人と比べて、医療費や欠勤・休職などによる生産性の損失額がどれだけ増えるのかを推定した。

 その結果、「健康だが肥満の人」では、適正体重の人と比べて生涯にかかる社会的なコストが大きく増えるとわかった。最も費用が高かったのは50歳モデルの3万6278ドル(約406万円)で、最も少ないのは80歳モデルの1万6882ドル(約189万円)であった。

 それと同時に、減量(ダイエット)で社会的コストを大きく削減できることも、この研究でわかっている。20歳で肥満の人が減量した場合、その人の生涯にかかる社会的コストが3分の1にまで削減されたのだ。

 日本では高齢化が加速する中で、医療費がどんどん増えている。それに伴って、消費税をはじめとした増税が検討されている。肥満が社会的コストを上げるというアメリカでの研究結果は、今の日本にも当てはまる。

 肥満治療では食生活の改善や運動習慣を繰り返し指導するだけでなく、太っていることによるメリットは「個人的にも社会的にもない」と丁寧に説明する必要があるのかもしれない。
(文=森真希)

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」

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