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榊淳司「不動産を疑え!」

不動産、来月にも大暴落の可能性…中国人が一斉売却の懸念、すでに局地的バブル終了

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
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 まず、現状ではマネーと不動産のバランスが不自然に崩れている。異次元金融緩和によってこの国にはマネーが大量に供給されたが、みんなが欲しがる不動産は限られていた。だからこの局地バブルが発生したと推測する。

 16年の夏頃に金融庁が目立たないように規制を始め、今は不動産融資がやや引き締め気味と観測されている。しかし、銀行も日銀から突き返された資金の運用先に困っている。不動産担保融資の残高は依然として高水準。銀行が低利でお金を貸している限り、一定の買い手は存在し続けている。だから、いまだにバブルが崩れていないとも理解できる。しかし、世界的に見ても金融引締めの潮流ができつつある。日本の異次元金融緩和もいずれ終わらざるを得ない。黒田日銀総裁の任期は18年4月に迫っている。

 いったん金融引締めが始まり、金利が上昇しだすと都心の不動産市場を直撃する。今までは低利の融資が引っ張れたからこそ3%や4%などという低利回り(高額)な物件でも取引が成立したが、融資金利が上昇すればそういう価格では買い手が現れなくなる。つまり、金利の上昇は不動産価格への強烈な下落圧力になる。

 18年4月以降、日銀の新総裁がどのような金融政策を打ち出すのかが不動産市場にとってはかなり重要だ。金融引締め(金利上昇)なら、一気に先安観が広がる。あるいは暴落的な下落が始まるかもしれない。

外国人の動向

 外国人の動向も気がかりだ。15年、都心や湾岸エリアではタワーマンションが飛ぶように売れた。特に湾岸エリアでは中国人を中心とした外国人のプレゼンスが目立った。なかには外国人比率が2割を大幅に超えたマンションもあったと推定される。そういったマンションが16年から続々と竣工してきた。いろいろな事件が起こっている。

 ある大手財閥系のデベロッパーでは、新築販売時に中国人に売ったマンションを積極的に買い戻しているという。管理費を払わないなどのトラブルが多いのが原因だ。

 一方、購入した中国人側からしても、「こんなはずではなかった」と落胆していることが容易に想像できる。まず、思ったほど値上がりしていない。中国や香港などでは、マンションが短期間で5~10割値上りする物件も珍しくない。それが東京の湾岸エリアではせいぜい2割程度。手数料を差し引けば1割の値上がり益を手にできるかどうかという水準だ。しかも、管理費や固定資産税などの維持費が年間に購入価格の1%程度は発生している。民泊で運用しようにも、管理規約で禁止されれば完全に違法だ。「だったら今のうちに売ってしまえ」という動きも一部では見られる。

 彼らは時に一斉に動く習性がある。東日本大震災の直後、「東京に放射能が降りかかる」という噂を信じた中国人たちが東京から一斉にいなくなった。あのとき、上海までの片道航空券は30万円だったとか。しかし、彼らはそれを買ってまでも帰国を急いだ。中国人は日本人に比べてかなり「損切り」については思い切りがよさそうだ。

3つの下落タイミング

 まとめよう。不動産市場の下落には3つのタイミングが考えられる。

(1)売り手が何かで焦りだした時
(2)金利の上昇側面
(3)中国人たちの一斉売却

 このうち(1)の「焦り」は、ちょっとしたきっかけで起こる。たとえば株式市場で下落が続いた場合。あるいは北朝鮮との地政学リスクがなんらかのかたちで発火した時。中国経済のクラッシュが再燃した時などである。

 政治の不安定化も当然、ここに入ってくる。安倍政権の基盤が崩れたりすると、売り手に焦りを生む原因になる。同様に、米国のトランプ政権の弱体化もいいことではない。世界のどこかで、リーマン・ブラザーズのような大企業が倒産しても、それは売り手の焦りにつながる。

 ひとつ言えるのは、局地バブルエリアでの不動産価格高騰はすでに終わっているということだ。あとは、いつ下落に転じるのかというのが最大の関心事。そのときは刻々と迫っている。
(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)

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